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「縁台〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

縁台の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
温泉だより」より 著者:芥川竜之介
しょう。何《なん》でも彼岸前のある暮れがた、「ふ」の字軒の主人は半之丞と店の前の縁台《えんだい》に話していました。そこへふと通りかかったのは「青ペン」の女の一人....
姪子」より 著者:伊藤左千夫
さ、どこの家でも前の往来を綺麗《きれい》に掃いて、掃木目《ほうきめ》の新しい庭へ縁台を出し、隣同志話しながら煙草など吹かしてる、おいらのような百姓と変らない手足....
海異記」より 著者:泉鏡花
、畳も、縁も、手遊、玩弄物。 犬張子が横に寝て、起上り小法師のころりと坐った、縁台に、はりもの板を斜めにして、添乳の衣紋も繕わず、姉さんかぶりを軽くして、襷が....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
岩の多いのが眼につきました。 妙義|葡萄酒醸造所というのに辿り着いて、ふたりは縁台に腰をかけました。家のうしろには葡萄園があるそうですが、表構えは茶店のような....
春昼」より 著者:泉鏡花
物店であります処、戸外へは水を打って、軒の提灯にはまだ火を点さぬ、溝石から往来へ縁台を跨がせて、差向いに将棊を行っています。端の歩が附木、お定りの奴で。 用な....
薬草取」より 著者:泉鏡花
利けぬな、商売品で銭を噛ませるようじゃけれど、一つ振舞うて遣ろかいと、汚い土間に縁台を並べた、狭ッくるしい暗い隅の、苔の生えた桶の中から、豆腐を半挺、皺手に白く....
古狢」より 著者:泉鏡花
タニタと顕われた。廓の美人で顔がきく。この権ちゃんが顕われると、外土間に出張った縁台に腰を掛けるのに――市が立つと土足で糶上るのだからと、お町が手巾でよく払いて....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
無台が寂しくなったため、もう帰るのであろうと見れば、さにあらず。 そこへ小さな縁台を据えて、二人の中に、ちょんぼりとした円髷を俯向けに、揉手でお叩頭をする古女....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
つける、と摺抜けに支えもあえず、ぼったら焼の鍋を敷いた、駄菓子屋の小店の前なる、縁台に※と落つ。 走り寄ったは婦ども。ばらばらと来たのは小児で。 鷺の森の稲....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
まものを並べて楽しむ処へ――それ、しも手から、しゃっぽで、袴で、代書代言伊作氏が縁台の端へ顕われるのを見ると、そりゃ、そりゃ矢藤さんがおいでになったと、慌しく鬱....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
べるものも、かの神路山の杉箸を割ったばかり。 客は丁字形に二つ並べた、奥の方の縁台に腰をかけて、掌で項を圧えて、俯向いたり、腕を拱いて考えたり、足を投げて横ざ....
明日」より 著者:井上紅梅
を告げた。單四嫂子が子供を受取ると、そこは我家の真近で、向うの家の王九媽が道端の縁台に腰掛けて遠くの方から話しかけた。 「單四|嫂子、寶兒はどんな工合だえ、先生....
蜘蛛の夢」より 著者:岡本綺堂
谷の方の占い者のところへ行くといって帰りました。今夜も暑い晩で、近所の家では表へ縁台を出して涼んでいるらしく、方々で賑やかな笑い声もきこえますが、わたくしは泣き....
瓜の涙」より 著者:泉鏡花
の茶屋を、松の葉|越に差窺うと、赤ちゃけた、ばさらな銀杏返をぐたりと横に、框から縁台へ落掛るように浴衣の肩を見せて、障子の陰に女が転がる。 納戸へ通口らしい、....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
屋へたどり着いた。船橋屋も家は新たになったものの、大体は昔に変っていない。僕等は縁台に腰をおろし、鴨居の上にかけ並べた日本アルプスの写真を見ながら、葛餅を一盆ず....