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「縒り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

縒りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
六寸の長さに縒《よ》り上げて、文銭の上に載《の》せた。 「これを御覧なさい。こう縒り合わせると、一本の糸が二筋の糸で、二筋の糸が一本の糸になるじゃありませんか。....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
うちはこんなにも大人に育って女性の漿液の溢れるような女になって、ともすれば身体の縒り方一つにも復一は性の独立感を翻弄されそうな怖れを感じて皮膚の感覚をかたく胄っ....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
へ据わって、采配を振るっているという訳で、ちょっと悪くないから私もその気で、再び縒りが戻ったんですの。私はそうなると、お神さんのあるのが業腹で帰してやるのがいや....
旅愁」より 著者:横光利一
水溜りに桜の弁が浮いていた。矢代は洩れ陽を透かし楓の薄紅い爪を見上げた。柿の芽も縒りをほごした膨らみ柔く、彼は朝の食慾を急に覚えたが、父の死の前後まで朝夕来てい....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
を呪う白の人々と、支那政府の眼をくぐって白の動きを見守る赤の密偵と、赤系と白系が縒りまざってまるで理髪屋の標柱のような哈爾賓の社会相が、ここにそのままの縮図を見....
死者の書」より 著者:折口信夫
き切らぬように、長く長くと抽き出す。又其、粘り気の少いさくいものを、まるで絹糸を縒り合せるように、手際よく糸にする間も、ちっとでも口やめる事なく、うき世語りなど....
源氏物語」より 著者:紫式部
かったのがさわやいだ程度に減ったらしく裾のほうが見えた。その色は翡翠がかり、糸を縒り掛けたように見えるのであった。紫の紙に書いた経巻を片手に持っていたが、その手....
源氏物語」より 著者:紫式部
らせる下書きをした硯のついでに、薫は、 あげまきに長き契りを結びこめ同じところに縒りも合はなん と書いて大姫君に見せた。またとうるさく女王は思いながらも、 貫....
雪の宿り」より 著者:神西清
かせるような、片時の落居のいとまとてない怪しい心のみだれが、いつしかに太い筋綱に縒り合わさって、いやいや吾が身ひとの身なんどは夢幻の池の面にうかぶ束のまの泡沫に....
痀女抄録」より 著者:矢田津世子
やりたい気持ちにさせられる。そして心を凝らして、ひたむきに励んだ。 寿女は糸を縒り合わせることが器用だったから、よく、銀三の分も手伝ってやった。それが仕癖にな....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
ぞが、 こう云う道を歩く人には、薬味のように利くのだ。 もう春が白樺の梢に色糸を縒り掛けている。 樅でさえ春の来たのに気が附いたらしい。 己達のこの手足にも利目....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
撓め切っていた良平の腕は唸って、こう大喝をくれながら地摺りに大刀で払い上げた。縒り合せた両手に伸びて行った切っ先は、星を斬ったように高く揚ったに過ぎない。美少....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
をかけた。 ――手をかけて。 (いや! 待て) と武蔵は、手を離した。縒り合せた紅白の色も分らぬほど古びている木綿の綱――鰐口の鈴から垂れている一条の....
私本太平記」より 著者:吉川英治
かったのだな」 帝の剛毅は、ここでも一こう萎縮していない。或る折にはお腕の垢を縒りながら、こういって呵々と大笑されたことなどある。 とはいえ、極寒を火の気も....
私本太平記」より 著者:吉川英治
うっ」 「かっ」 「う。う」 淵辺の足は宙を蹴りぬく。 すぐ、宮のおからだも縒り糸のように具足の諸足で捻じ縒られる。 灯が仆れた。 なんともかとも凄まじ....