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「縫針〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

縫針の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
孔《あな》を明けた所があった。園が何か深く考えこみながら、無意識にその辺にあった縫針でいたずらをしたものに違いない。あの子供のように澄んだ眼でじっとラムプを見つ....
玩具」より 著者:太宰治
だ。糸屑《いとくず》を払い落す為であったかも知れぬ。からだをくねらせて私の片頬へ縫針を突き刺した。「坊や、痛いか。痛いか。」私には痛かった。 私の祖母が死んだ....
新生」より 著者:島崎藤村
のほころびでも縫えと言って、紅白の糸をわざわざ亭主と二人して糸巻に巻いて、それに縫針《ぬいばり》を添えて岸本に餞別《せんべつ》としたほど細《こまか》く届いた上方....
風流仏」より 著者:幸田露伴
授けられては甚だ迷惑。ハハハヽア、何の迷惑、器量美しく学問|音曲のたしなみ無とも縫針暗からず、女の道自然と弁えておとなしく、殿御を大事にする事|請合のお辰を迷惑....
火星探険」より 著者:海野十三
枚その写真を撮ってきてくれと注文してあった。皆注文がつけてあるのが多く、サリーは縫針《ぬいばり》を十本ほど呉《く》れて、もしこの縫針が余ったら、標本になる珍らし....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
なさる、……後で聞くとこの蝋燭の絵は、その婦が、隙さえあれば、自分で剳青のように縫針で彫って、彩色をするんだそうで。それは見事でございます。 また髪は、何十度....
南地心中」より 著者:泉鏡花
しさで。 世話人は皆激しく顰んだ。 知らずや人々。お珊は既に、襟に秘し持った縫針で、裏を透して、左の手首の動脈を刺し貫いていたのである。 ただ、初から不思....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
一所に、きりきりきりきり引きしめて、きりきり、きりきり、その痛さといっては。……縫針のさきでさえ、身のうち響きますわ。ただ事でない。解くにも、引切るにも、目に見....
」より 著者:池谷信三郎
た。 新聞社の屋根でたった一人、紫色の仕事着を着た給仕の少女が、襟にさし忘れた縫針の先でぼんやり欄干を突っつきながら、お嫁入だとか、電気局だとかいうことを考え....
ガリバー旅行記」より 著者:スウィフトジョナサン
た。この蜂は鷓鴣ぐらいの大きさでした。針を抜き取って見ると、一インチ半もあって、縫針のように鋭いものでした。私はそれを大事にしまっておいて、その後、いろ/\の珍....
」より 著者:斎藤茂吉
が親切でよくその蚤を捕えてくれくれした。看護婦はその捕えた蚤のまだ生きているのを縫針に突きとおし、ハリツケデゴザイマスなどと言って自分のところに持って来てくれる....
宝島」より 著者:佐々木直次郎
私は彼のポケットを一つ一つ探った。小さな貨幣が二三箇に、指貫が一つに、糸と大きな縫針、端を噛み切ってある捩巻煙草が一本と、曲った柄の附いた|大形ナイフと、懐中羅....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
て来ます。もう少しの辛抱でございますね。」 刀自はあっさりとそういったきりで、縫針の手を休めない。不足がちな足袋をせっせと綴くっているのである。傍に置いてある....
J・D・カーの密室犯罪の研究」より 著者:井上良夫
閂に工夫をして密室とする。――ここでもやはり紐が使われる。道具はこの紐の外ピンと縫針である。このピンをドアの内側の所に刺し、梃作用によって外部から紐をかける。糸....
五重塔」より 著者:幸田露伴
、身の分際を忘れてか、と泣き声になり掻き口説く女房の頭は低く垂れて、髷にさされし縫針の孔が啣えし一条の糸ゆらゆらと振うにも、千々に砕くる心の態の知られていとどい....