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縮緬
「縮緬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
縮緬の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬」より 著者:芥川竜之介
《うすべ》りを張った腰かけの上に何人も腰をおろしていた。しかし一番目立ったのは黒
縮緬《くろちりめん》の羽織をひっかけ、何か雑誌を読んでいる三十四五の女だった。
....
「或る女」より 著者:有島武郎
て、いびきも立てずに熟睡していた。料理屋を兼ねた旅館のに似合わしい華手《はで》な
縮緬《ちりめん》の夜具の上にはもうだいぶ高くなったらしい秋の日の光が障子《しょう....
「星座」より 著者:有島武郎
く新井田さんの奥さんなのよ」
とおたけさんは奥さんから眼を放さない。重そうな黒
縮緬《くろちりめん》の羽織が、撫《な》で肩の円味をそのままに見せて、抜け上るよう....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
、何かじゃ、僕の方が媒酌人だよ。」 「怪しからん。黒と白との、待て? 海老茶と緋
縮緬の交換だな。いや、可い面の皮だ。ずらりと並べて選取りにお目に掛けます、小格子....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
立姿の興行物があった。凡そ十丈もあろうかと思うほどの、裸体の人形で、腰には赤の唐
縮緬の腰巻をさして下からだんだん海女の胎内に入るのです。入って見ると彼地此地に、....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
輝きまする鰐の皮三十六枚、沙金の包七十|袋。量目約百万両。閻浮檀金十斤也。緞子、
縮緬、綾、錦、牡丹、芍薬、菊の花、黄金色の董、銀覆輪の、月草、露草。 侍女一 も....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
い十六七が、……こりゃどうした、よく言う口だが芥溜に水仙です、鶴です。帯も襟も唐
縮緬じゃあるが、もみじのように美しい。結綿のふっくりしたのに、浅葱鹿の子の絞高な....
「女客」より 著者:泉鏡花
の襟のなり、ふっくりとした乳房の線、幅細く寛いで、昼夜帯の暗いのに、緩く纏うた、
縮緬の扱帯に蒼味のかかったは、月の影のさしたよう。 燈火に対して、瞳|清しゅう....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
んです。煽りもせぬのに気が立って、颯と火の上る松明より、紅に燃立つばかり、緋の紋
縮緬の長襦袢が半身に流れました。……袖を切ったと言う三年前の婚礼の日の曠衣裳を、....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
めた。 棚から一冊抜取ると、坐り直して、売りものに花だろう、前垂に据えて、その
縮緬の縞でない、厚紙の表紙を撫でた。 「どうぞ、お掛けなさいまして、まあ、どうぞ....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
出した繻珍の丸帯、薄手にしめた帯腰|柔に、膝を入口に支いて会釈した。背負上げの緋
縮緬こそ脇あけを漏る雪の膚に稲妻のごとく閃いたれ、愛嬌の露もしっとりと、ものあわ....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
信柱に附着けた、ペンキ塗の広告まで、土佐絵を見るような心持のする国だから、赤い唐
縮緬を着た姐さんでも、京人形ぐらいには美しく見える。こっちへ来るというので道中も....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
結び果てず、海水帽を絞って被った、豊な頬に艶やかに靡いて、色の白いが薄化粧。水色
縮緬の蹴出の褄、はらはら蓮の莟を捌いて、素足ながら清らかに、草履ばきの埃も立たず....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
なくっても可いが想像が出来る。膚を左右に揉む拍子に、いわゆる青練も溢れようし、緋
縮緬も友染も敷いて落ちよう。按摩をされる方は、対手を盲にしている。そこに姿の油断....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
康そうにはないのが、薄痩せて見えるまで、その処々色が褪せて禿げている。――茶の唐
縮緬の帯、それよりも煙草に相応わないのは、東京のなにがし工業学校の金色の徽章のつ....