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「繁忙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

繁忙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
火の消えた葉巻《はまき》を啣《くわ》えたまま、今日も堆《うずたか》い商用書類に、繁忙な眼を曝《さら》していた。 更紗《さらさ》の窓掛けを垂れた部屋の内には、不....
二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
と》して、書いたものでございますから。 かような事を、くどく書きつづけるのは、繁忙な職務を御鞅掌《ごおうしょう》になる閣下にとって、余りに御迷惑を顧みない仕方....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
まったくこれなく、今は生死のほども計りかね候あいだ、さだめしお役向きのことどもご繁忙には候わんも、別してご憐憫《れんびん》をおかけくだされ、火急にご詮議《せんぎ....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
を被せる事が出来るから、少しも躊躇せず「夫は無論私が勤めます、貴方は弁護士と云う繁忙な身分ですから」権田「イヤお為ごかしは御免です、職業などは捨てても構わない決....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
、お松さんに相談すれば、大抵の用は足りる、というところから、お松の地位が、責任と繁忙を加えて来るのはぜひがありません。 駒井は、お松の才能を見て、得難き人を与....
悪夢」より 著者:豊島与志雄
い。息の限り走り廻られる、広々とした草原の面影もない。そして生活は、大地を離れた繁忙な事務の中に閉じ籠められ、一つ所に動きがとれぬほど固定され、毎日同じことを繰....
或る素描」より 著者:豊島与志雄
暫くしてから、呑気そうに煙草を吹かしながら戻ってきた。月末のことで、会社の事務は繁忙を極めていた。彼は専務から呼びつけられて、ひどく叱責された。後で給仕から聞い....
一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
製造に関する諸設備も絶えず改善されねばならず、店員の待遇も漸次引き上げて、日々の繁忙の間に犠牲者を出さぬよう出来得る限り生活の安全を計るべきであるし、店が発展す....
雪の宿り」より 著者:神西清
の有様を聞きたいのは、無理もない次第に違いない。しかも戦乱の時代に連歌師の役目は繁忙を極めている。差当っては明日にも、恐らく斎藤|妙椿のところへであろう、主命で....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
ったのでした。その準備もせねばならず、北海道からは発掘した荷物が来るのですから、繁忙を極めていました。 その頃の東片町は、夜になると寂しいところでした。私の部....
残肴の処理」より 著者:北大路魯山人
金を得る生活よりも、ひたすら料理に興味を持ち続けることの方が幸福ではなかろうか。繁忙の時でなければ残肴の姿は見えない。残肴が姿を出すような忙しい時は、料理人は疲....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
とむらがある。) 九日、曇り。晴雨定まらず。市中を一過するに、シドニーのごとく繁忙ならざるも、道路広く、街区正しく、遊園多く、なんとなく清閑を覚ゆ。ただし、中....
空中征服」より 著者:賀川豊彦
だと、彼は心の中で泣いた。 市庁舎へ行ってみて驚くことは今日に限って各課とも大繁忙の大繁忙、まるで火事場のようであった。 「どうしたのか? 何事が起ったのか?....
銀河の下の町」より 著者:小川未明
信吉は、学校から帰ると、野菜に水をやったり、虫を駆除したりして、農村の繁忙期には、よく家の手助けをしたのですが、今年は、晩霜のために、山間の地方は、く....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
あの無量生産から寸時の隙なく引きずられこづき廻わされている人夫たちの沈黙の苦力と繁忙とは見る目も痛わしい。彼らは彼らの意志も呼吸も圧迫されどおしである。 圧搾....