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繕
「繕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
繕の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
貧困は棟割長屋《むねわりながや》に雑居する下流階級の貧困ではなかった。が、体裁を
繕う為により苦痛を受けなければならぬ中流下層階級の貧困だった。退職官吏だった、彼....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
どは美しかった。しかしこれも床の上に坐《すわ》り、丹念に白足袋《しろたび》などを
繕っているのは余りミイラと変らなかった。重吉はやはり彼女にも「お母さん、きょうは....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
それはいけない。馬の脚だけはよしてくれ給え。第一僕の承認を経《へ》ずに僕の脚を修
繕《しゅうぜん》する法はない。……」
半三郎のこう喚《わめ》いているうちに下役....
「或る女」より 著者:有島武郎
うせんてき》な調子で震えていた。田川|博士《はかせ》はこのとっさの気まずい場面を
繕うため何か言葉を入れてその不愉快な緊張をゆるめようとするらしかったが、夫人の悪....
「星座」より 著者:有島武郎
てから、誰と誰とが危険と塵とを厭わないでここまで昇る好奇心を起したことだろう。修
繕師のほかには一人もなかったかもしれない。そして何年前に最後の修
繕師がここに昇っ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
人は腕を仰向けに窓に投げて、がっくり鬢を枕するごとく、果は腰帯の弛んだのさえ、引
繕う元気も無くなって見えたが、鈴のような目は活々と、白い手首に瞳大きく、主税の顔....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
たろう。浜には津軽や秋田へんから集まって来た旅雁のような漁夫たちが、鰊の建網の修
繕をしたり、大釜の据え付けをしたりして、黒ずんだ自然の中に、毛布の甲がけや外套の....
「三つの窓」より 著者:芥川竜之介
3 一等戦闘艦×× 一等戦闘艦××は横須賀軍港のドックにはいることになった。修
繕工事は容易に捗どらなかった。二万|噸の××は高い両舷の内外に無数の職工をたから....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
生様の……でござりますか、早速そう申しましょう。) で、地獄の手曳め、急に衣紋
繕いをして下りる。しばらくして上って来た年紀の少い十六七が、……こりゃどうした、....
「女客」より 著者:泉鏡花
、口許の緊った、痩せぎすな、眉のきりりとした風采に、しどけない態度も目に立たず、
繕わぬのが美しい。 「これは憚り、お使い柄|恐入ります。」 と主人は此方に手を....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
、垢抜のした白い顔を、神妙に俯向いて、麁末な椅子に掛けて、卓子に凭掛って、足袋を
繕っていましたよ、紺足袋を…… (鋳掛……錠前の直し。)…… ちょっと顔を上げ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
三 何、別に仔細はない。客引に使った中年増でもなければ、手軽な妾が世間体を
繕っているのでもない。お伽堂というのは、この女房の名の、おときをちょっと訛ったの....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
に、宝石輝く指の尖を、ちょっと髯に触ったが、あらためてまた掻上げる。その手で襟を
繕って、扱帯の下で褄を引合わせなどしたのであるが、心には、恐ろしい夢にこうまで疲....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
と云った。が、直に冷淡にしては、相手にすまないと思い直した。彼はその冷淡さを取り
繕うように、包み菓子の一つを口へ入れた。菓子には新聞紙にあったらしい、石油の※が....
「活人形」より 著者:泉鏡花
泣いてばかりいやあがる。これお録、媒灼人役だ。ちと、言聞かしてやんな。老婆は声を
繕いて、「お嬢様、どうしたものでございますね。御婚礼のお目出度に、泣いていらしっ....