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「繰る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

繰るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
路上」より 著者:芥川竜之介
手近の帳場机にある紙表紙の古本をとり上げたが、所々《ところどころ》好い加減に頁を繰ると、すぐに俊助の方へ表紙を見せて、 「これも花房《はなぶさ》さんが売ったんで....
或る女」より 著者:有島武郎
子は家の中をすみからすみまで見て回った。きのう玄関口に葉子を出迎えた女中が、戸を繰る音を聞きつけて、いち早く葉子の所に飛んで来たのを案内に立てた。十八九の小ぎれ....
大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
用意全く成れり。 漁史は、手応の案外強きに呆れ、多少危懼せざるに非ざれども、手繰るに従いて、徐々相近づくにぞ、手を濡らしつつ、風強き日の、十枚紙|鳶など手繰る....
活人形」より 著者:泉鏡花
うで、これは多分山猫の妖精だろうという風説でな。「それじゃあ風の吹く晩には、糸を繰る音が聞えるだろうか。「そこまでは存じませんが、折節女の、ひい、ひい、と悲鳴を....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
。もっとも若い内は遣ったかも知れんてな。ははは、」 人も無げに笑う手から、引手繰るように切符を取られて、はっと駅夫の顔を見て、きょとんと生真面目。 成程、こ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
だ、憂わしげな色が見える。 好男子世に処して、屈託そうな面色で、露店の三世相を繰るとなると、柳の下に掌を見せる、八卦の亡者と大差はない、迷いはむしろそれ以上で....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
褄を取った状に、内端に可愛らしい足を運んで出た。糸も掛けない素の白身、雪の練糸を繰るように、しなやかなものである。 背丈|恰好、それも十一二の男の児が、文金高....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
屋根裏を仰ぐと、引窓が開いていたので、煤で真黒な壁へ二条引いた白い縄を、ぐいと手繰ると、かたり。 引窓の閉まる拍子に、物音もせず、五|分ばかりの丸い灯は、口金....
黒百合」より 著者:泉鏡花
軒三軒と心覚えにしておいたが、蛇の道は蛇じゃ、段々その術に長ずるに従うて、蔓を手繰るように、そら、ぞろぞろ見付かるで。ああ遣って印をして、それを目的にまた、同好....
紅玉」より 著者:泉鏡花
は凧を上げ、独楽を持ちたるは独楽を廻す。手にものなき一人、一方に向い、凧の糸を手繰る真似して笑う。 画工 (枠張のまま、絹地の画を、やけに紐からげにして、薄汚れ....
小春の狐」より 著者:泉鏡花
い値に買おうと思って、声を掛けようとしたが、隙がない。女が手を離すのと、笊を引手繰るのと一所で、古女房はすたすたと土間へ入って行く。 私は腕組をしてそこを離れ....
三枚続」より 著者:泉鏡花
看板のある樹立の下に、吹上げの井戸があって、樋の口から溢れる水があたかも水晶を手繰るよう。 お夏は翳していた日傘の柄を横に倒して熟と見たが、右手に商品陳列所の....
式部小路」より 著者:泉鏡花
とく、喟然として不言。ちょうど車夫が唐縮緬の風呂敷包を持って来たから、黙って引手繰るように取った。 「さあ、お入りな。」 後姿でお夏は格子を、 「おばさん、緩....
南地心中」より 著者:泉鏡花
、軍鶏が蹴つけるように、ポンと起きたが、(寄越せ、)で、一人|剥いていた柿を引手繰る、と仕切に肱を立てて、頤を、新高に居るどこかの島田|髷の上に突出して、丸噛り....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
串戯にしてもと、私は吃驚して、言も出ぬのに、女はすぐに幅狭な帯を解いた。膝へ手繰ると、袖を両方へ引落して、雪を分けるように、するりと脱ぐ。……膚は蔽うたよりふ....