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「纏り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

纏りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
一利己主義者と友人との対話」より 著者:石川啄木
て不便だもないじゃないか。なるべく現代の言葉に近い言葉を使って、それで三十一字に纏りかねたら字あまりにするさ。それで出来なけれあ言葉や形が古いんでなくって頭が古....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
の(結び)には拵えた作意がある。誰方にもよく解る。……お滝が手紙を渡す条である。纏りがいいようにと思ったが、見えすいた筋立らしい、こんな事はしないが好い。――実....
妖僧記」より 著者:泉鏡花
ここに到る毎に、お通は執心の恐しさに、「母上、母上」と亡母を念じて、己が身辺に絡纏りつつある淫魔を却けられむことを哀願しき。お通の心は世に亡き母の今もその身とと....
階段」より 著者:海野十三
になった椅子の上にのびのび腰を下し、さて何を研究したものかと考え始めたが、一向に纏りはつかず、考えれば考えるほど、今日の帰り路は、どう取って、定刻までに信濃町ま....
白蛇の死」より 著者:海野十三
気よ」 「じゃ、其処まで送って行こう」 「無論だわよ」 お由はまだ国太郎に絡み纏りながら、裏梯子から表へ出た。が、塀を一つ曲って此処まで来ると、 「あら、私紙....
ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
式だけの答礼をした。 この時また、転ぶ様に馳けつけて来た女、この二日間小田島に纏り続け、彼の前でイベットを目の敵に罵り通して居たあの女だ。女は余程あわてふため....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
にとでもいった調査的な聞き振りだった。 かの女がやや怯えている様子をみて逸作が纏りよく答えた。 「つまり、これがですな。性質があんまり感情的なんで、却って性質....
俗臭」より 著者:織田作之助
、二人は市治郎に頭が上がらぬのだ。――市治郎が哀れな政江の身の上に就て漸く意見が纏り掛けた時、しびれを切らした伝三郎が口をひらいた。……伝三郎の饒舌をこゝに写す....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
て、情熱のにおいを嗅いでみる。 その時であった。鶴見が離れようとすればするほど纏りついてくる女の執拗さにあきれて、女の媚には応諾も与えずに、押黙って本を見てい....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
問答の末に立去ろうとしますと、急に、「負けます、負けます」と呼止めて、やっと話が纏ります。初めからお互に相当の値をいったらと思いました。でもそれが縁日の景気にな....
飢餓地帯を歩く」より 著者:下村千秋
ま、わら屑が、雀の巣のようにほうけ出し、藁靴というよりは只のわら屑を足のまわりに纏りつけたという風であった。長野県でも、新潟県でも、雪靴というのを見たが、それは....
死んでいた狒狒」より 著者:田中貢太郎
方から、 「おうウイ」 と云う壮い木客の声が聞えて来た。すると前方の声はそれに纏りつくように、 「おうウイ」 と応じて来た。と、又壮い木客の声がそれに応じた....
竇氏」より 著者:田中貢太郎
那様が、あなたのことをほめていらっしゃいますから、あなたが結婚なさる腹なら、すぐ纏りますが」 「そうですね」 「お嬢さんは美しいかたですし、お金はどっさりありま....
小さな出来事」より 著者:寺田寅彦
た。しかしその時考えた事はここに書くにはあまりに複雑でそしてデリケートな、そして纏りのつきかねるものであった。 このような事を考えた翌日の同じ時刻に私は例のよ....
イデオロギー概論」より 著者:戸坂潤
点は、社会心に就いてのこれ等の諸課題が、階級意識を中心として取り扱われない限り、纏りが付かないだろうということである。即ち之がイデオロギーの理論に立って初めて節....