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纏頭
「纏頭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
纏頭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「太十と其犬」より 著者:長塚節
酷く太十の心を惹いた。大勢はまだ暫くがやがやとして居たが一人の手から白紙に包んだ
纏頭が其かしらの婆さんの手に移された。瞽女は泊めた家への謝儀として先ず一段を唄う....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
いた白の神馬。 ずっと騎すのを、轡頭を曳いて、トトトト――と坊主が出たが、 「
纏頭をするぞ。それ、錦を着て行け。」 かなぐり脱いだ法衣を投げると、素裸の坊主....
「源氏物語」より 著者:紫式部
多く加わったここの管絃楽に新来の人々は興味を覚えた。また杯が多く巡った。ここには
纏頭《てんとう》にする物が備えてなかったために、源氏は大井の山荘のほうへ、 「た....
「源氏物語」より 著者:紫式部
仏事の日の経巻や仏像の製作、法事の僧たちへ出す布施《ふせ》の衣服類、一般の人への
纏頭《てんとう》の品々は夫人が力を傾けて用意していることであった。東の院でも仕事....
「源氏物語」より 著者:紫式部
ある。 夫人たちからはそれぞれの個性の見える返事が書いてよこされ、使いへ出した
纏頭《てんとう》もさまざまであったが、末摘花は東の院にいて、六条院の中のことでな....
「源氏物語」より 著者:紫式部
がたも高官たちもほとんど皆六条院の新年宴会に出席した。音楽の遊びがあって贈り物に
纏頭に六条院にのみよくする華奢が見えた。多数の縉紳は皆きらびやかに風采を作ってい....
「源氏物語」より 著者:紫式部
ぼれている中へ舞って入る。中宮の亮をはじめとしてお手伝いの殿上役人が手に手に宮の
纏頭を持って童女へ賜わった。鳥には桜の色の細長、蝶へは山吹襲をお出しになったので....
「源氏物語」より 著者:紫式部
るころにはもう何もよく見えなかった。左近衛府の舎人たちへは等差をつけていろいろな
纏頭が出された。ずっと深更になってから来賓は退散したのである。源氏は花散里のほう....
「源氏物語」より 著者:紫式部
とも前生に深い因縁のあることだろうと思います」 腰結い役への贈り物、引き出物、
纏頭に差等をつけて配られる品々にはきまった式があることではあるが、それ以上に派手....
「源氏物語」より 著者:紫式部
はことによく見える御所の中の生活をしばらくは続けてみたいと思っていた。どちらでも
纏頭に出すのは定った真綿であるが、それらなどにも尚侍のほうのはおもしろい意匠が加....
「源氏物語」より 著者:紫式部
に送って、二種類ずつの薫香を作られたいと告げた。裳着の式日の贈り物、高官たちへの
纏頭の衣服類の製作を手分けして各夫人の所でしているかたわらで、またそれぞれ撰び出....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
むほどであったが、この追分には必ず泊まり、泊まれば宿中の遊女という遊女は召されて
纏頭をいただいた。 そういう追分の鍵屋という旅籠へ、陣十郎と澄江が泊まったのは....
「酒渇記」より 著者:佐藤垢石
叶わぬ』 と、掌を横に振った。時に漸く夏日暮れんとし、笙歌数奏。豪勇ども各々|
纏頭、這うようにして帰った―― このころの、酒の価についての文献は見当たらぬ。....
「申訳」より 著者:永井荷風
家賃廉低ノ地ヲ択ブガ故ニ大抵郡部新開ノ巷ニ在リ。別ニ給料ヲ受ケズ、唯酔客ノ投ズル
纏頭ヲ俟ツノミ。然レドモ其ノ金額日々拾円ヲ下ラザルコト往々ニシテ有リ。之ヲ以テ或....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
岡はその晩、君江が物言いのしずかなのと、挙動の疎暴でないのを殊更うれしく思って、
纏頭《ちっぷ》は拾円奮発してその帰途をそっと外で待っていた。それとは心づかない君....