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「罌粟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

罌粟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
薤露行」より 著者:夏目漱石
どこの世にての逢いがたきに比ぶれば、未来に逢うのかえって易《やす》きかとも思う。罌粟《けし》散るを憂《う》しとのみ眺むべからず、散ればこそまた咲く夏もあり。エレ....
三四郎」より 著者:夏目漱石
ら見ていたまえ」 三四郎は礼を述べて書物を受け取った。 「寂寞《じゃくまく》の罌粟花《けし》を散らすやしきりなり。人の記念に対しては、永劫《えいごう》に価する....
深夜の市長」より 著者:海野十三
何の得るところもなく元の書斎へ戻ってくるとこれはしたり、僕の机の上に、くれないの罌粟の花束が、探していた花筒に活けて載っているのを発見した。先刻にはどうしてこれ....
デパートの絞刑吏」より 著者:大阪圭吉
加えて、少々得意気に話してくれた。説明が終わると、私達は許しを得て死体に接近し、罌粟の花の様なその姿に見入る事が出来た。 頭蓋骨は粉砕され、極度に歪められた顔....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
ざと見えるだろうな。草色の水干に引っ立て烏帽子、細身の太刀を佩き反らせ、胸の辺に罌粟の花を、いつも一輪付けている筈だ。そうして、その花は男の胸から女の髪へ差し換....
故郷」より 著者:太宰治
て廊下に出た。廊下を歩いて洋室へ行った。洋室は寒く、がらんとしていた。白い壁に、罌粟の花の油絵と、裸婦の油絵が掛けられている。マントルピイスには、下手な木彫が一....
真夏の夢」より 著者:有島武郎
。顔は百合の花のような血の気のない顔、頭の毛は喪のベールのような黒い髪、しかして罌粟のような赤い毛の帽子をかぶっていました。奥さんは聖ヨハネの祭日にむすめに着せ....
雑記帳より(Ⅱ)」より 著者:寺田寅彦
ともはっきり分らないで色彩の揺曳とでも云ったようなものを感じる花とがある。朱色の罌粟や赤椿などは前者の例であり、紫色の金魚草やロベリアなどは後者の例である。一体....
死の前後」より 著者:豊島与志雄
ては熱い息を吐き、そしてまたふらふらと歩き出した。島田にいった頭が、風に吹かるる罌粟の花のように揺いでいた。お座敷着の身体が細そり痩せて、黄色のかった帯が大きく....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
か》の匂いがする微風に波打っている畑の作物。至るところに花が咲いている、矢車草、罌粟《けし》、菫《すみれ》。なんと美しいことだろう! なんと快い空気だろう! 密....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
しろはたんきょう》が咲いていた。よみがえったローマ平野の中には、草の波と揚々たる罌粟《けし》の炎とがうねっていた。別墅《べっしょ》の芝生《しばふ》の上には、紫の....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
石|曳《ひ》き、不眠、徹夜、硝酸水および睡蓮《すいれん》の煎《せん》じ薬の飲取、罌粟《けし》および馬鞭草《くまつづら》の乳剤の摂取、それに加うるに厳重なる断食を....
鼻に基く殺人」より 著者:小酒井不木
鑢をポケットに押し入れるなり、紙の漏斗を製って、火薬を電球の中へ注入しはじめた。罌粟粒よりも微小な鉛色の火薬が、砂時計が時を刻むように乳白の電球の中へさらさらと....
レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
ありません。たれこめた自分の室で、つれない女子に物を思わせようと、又血汐のような罌粟畑で、銀の呪詛をのがれんと、競技の前の夜の半ばに、歌ったのでござります。噫!....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
の花は沢山咲きますけれども、冬はほとんど花などを見ることが出来ない。その花は菊、罌粟、解脱母の花、小木蓮、欝金香その他種々の花が多く御殿の椽先に鉢植えで置いてあ....