置捨て[語句情報] »
置捨て
「置捨て〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
置捨ての前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
両手に提げられるだけの衣類を鞄《かばん》に入れて持って行こうとした。書籍なぞは皆
置捨てる思いをした。蝉《せみ》の声一つ聞かない巴里の町中でも最早何となく秋の空気....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
く。 いつの間にか帰って来て、三人に床几を貸した古女房も交って立つ。 彼処に
置捨てた屋台車が、主を追うて自ら軋るかと、響が地を畝って、轟々と雷の音。絵の藤も....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
にはゆきません。捨札《すてふだ》も無く、竹を組んだ三脚の上へ無雑作《むぞうさ》に
置捨てられてあるが、百姓や樵夫《きこり》の首ではなくて、ともかくも武士の首であり....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
わけではないが、その時は、無意識に、自分の手文庫の中に文鎮《ぶんちん》同様にして
置捨てにしてあった数珠を、何かのハズミで、手首にかけて、今持って出ていたのだとい....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
のに名残《なご》りの残るわけではないが、そこには、自分の身のまわりの一切のものが
置捨てられてあったのです。 一切のものといううちに、その数々を挙げてみるよりは....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
蘭の駕籠の上にのしかかって、頬杖をついているのであります。 それは、駕籠屋には
置捨てられたけれども、駕籠そのものはどちらも異状がないのみならず、駕籠の棒鼻に吊....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、さてその下駄を突っかけようとして見ると、片一方だから、やむを得ず、そこへ並べて
置捨てにしていったものに相違ない。 これがためにあらぬ浮名を受けたお梅は、相手....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
と見えて、その草叢《くさむら》の中を進み進んで行きますうちに、ある巨大なる切石が
置捨てられてあるところで足を止めました。 「モシ――」 と、そこでまた突然と、物....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
たい》を引摺り出して、そうして、程遠からぬ七条油小路の四辻へ引張り出して、大道へ
置捨てにしました。 しかも、その屍体には、念入りに御紋章入りの提灯を握り持たせ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ばたの芝の上に置かれた剣術の道具一組。袋に入れた竹刀《しない》につらぬかれたまま
置捨てられて、人は見えない。 あちらの畑の中の柿の木の上で声がする。 「新ちゃ....