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羈絆
「羈絆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
羈絆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
ある。いかにわたしを仇《かたき》にしようと思うても、所詮《しょせん》むすび付いた
羈絆《きずな》は離れぬ。今別れても再びめぐりあう時節があろう。これを覚えていてく....
「ネギ一束」より 著者:田山花袋
泣く赤児の声、抑ゆることのできぬ強いはげしい母親の愛情、お作は離るべからざる強い
羈絆のさらに身にまつわるを新たに覚えた。 過労と営養不良とで、乳が十日目ころか....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
こそは愛が直接に人間に与えた愛子だといっていい。立派な音楽は聴く人を凡ての地上の
羈絆から切り放す。人はその前に気化して直ちに運命の本流に流れ込む。人間にとっては....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
来るだけ妻に対しては好い夫、子にも好い父であろうとして居ます。でもそういう責任や
羈絆を感ずれば感ずる程また一方に家庭への反逆心も起ろうというもんです。はははは…....
「涼味数題」より 著者:寺田寅彦
してこそほんとうの自由が得られるであろう。 暑さがなければ涼しさはない。窮屈な
羈絆の暑さのない所には自由の涼しさもあるはずはない。一日汗水たらして働いた後にの....
「概念と心其もの」より 著者:宮本百合子
ず、女性の作家に加えられた評言に就て反省して見る事は、即ち持つならば或る欠点や、
羈絆《きはん》から脱して、よりよい次の一歩を踏出す事に成るのではないだろうか。 ....
「昨今の話題を」より 著者:宮本百合子
くて、男にそれを確かと受とめさせ、とって直して、男と女との踵に重い今日の社会的|
羈絆《きはん》から諸共に解放されようとする、その役に立てるものの意味として理解するのである。〔一九三五年三月〕....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
米友は歎息しながら熊を取って抑える。事実、米友なればこそです、子熊とはいえ、
羈絆《きはん》を脱して自由を求むる本能性の溢れきったこの猛獣族を、この場合に取っ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
女はT女の守護霊、言わばその霊的指導者で、両者の間柄は切っても切れぬ、堅き因縁の
羈絆で縛られているというのであります。それに就きては本邦並に欧米の名ある霊媒によ....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
なく断絶する。之に反して、魂と魂との一致によりて堅く結ばれたる夫婦関係は、肉体の
羈絆を脱した暁に於て、更に一層の強度を加える。二つの魂を包囲する愛の絆こそは、相....
「ヴェルダン」より 著者:野上豊一郎
ていたのを、九世紀になってフランスに併合され、その後、ドイツに占領されたり、その
羈絆から脱したり、市民権が強くなってからはローマ法王の勢力に対抗したりしていたが....
「津田青楓君の画と南画の芸術的価値」より 著者:寺田寅彦
得べき肝心の要素に触接しているように思われるのである。 津田君といえども伝習の
羈絆を脱却するのは困難である。あるいは支那人や大雅堂蕪村やあるいは竹田のような幻....
「或教授の退職の辞」より 著者:西田幾多郎
当時思うよう、学問は必ずしも独学にて成し遂げられないことはあるまい、むしろ学校の
羈絆《きはん》を脱して自由に読書するに如《し》くはないと。終日家居して読書した。....
「科学が臍を曲げた話」より 著者:海野十三
も、地上には少しも応答のないのも無理はありません。超短波は電気天井を抜け、地球の
羈絆を切って一直線に宇宙へ黙々として前進しているのです。 「ああ、ちょっと聞き給....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
後の一章たり。フランドルはもと自由の国たり。フラマン人は西班牙《スペイン》政庁の
羈絆《きはん》を脱するや最近十九世紀の文明に乗じて一大飛躍を試みたる国民たり。ヴ....