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「羚羊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

羚羊の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
高山の雪」より 著者:小島烏水
を往々見受ける。欧洲アルプスではこれが三百米突位な深さに達し、登山者のみならず、羚羊《かもしか》までが踏み落ちると、そのまま氷漬けになり、自然の墳墓になるという....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
は、そのクリクリした葡萄の果みたいな双の瞳である。そこからは智的な熱情が、まるで羚羊のような敏しこさで迸出してくるのだけれども、それにはまた、彼女の精神世界の中....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
児とわかる浅黒い肌、きりっとひき締った精悍そうな面がまえ、ことに、肢体の溌剌さは羚羊のような感じがする。 ジョジアス・カーク――国籍は合衆国だが有名なコンゴ荒....
単独行」より 著者:加藤文太郎
れ百間洞へ下り、後ガレを一気に大沢岳へ登る。登り切って縦走して行くと向うの尾根に羚羊がいる。オオイと声をかけても知らぬ顔して向うを向いているし石を投げてもじっと....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
からしめた雪! 我ら一行の手は、初めてこの秘められたる、白い肌に触れたのである。羚羊・長之助草(北岳の絶巓に登る記) それから尾根伝いに、間の岳の絶頂まで這い....
谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
、小さな獣の足跡が、涸谷の方から、尾根の方へ、雨垂れのように印している、嘉代吉は羚羊の足跡だと言って、穂高岳も、この辺は殆んど涸谷に臨んでいる絶壁ばかりだと言っ....
宝島」より 著者:佐々木直次郎
しておくってことは私には出来ないんだ。さあ、跳べ! 一跳びで外へ出られる。二人で羚羊のように逃げ出そう。」 「いいえ。」と私は答えた。「あなたは御自分ならそんな....
夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
云う記述があるのです。――予の湖畔に於ける狩猟中に、朝食のため土人の一人が未明|羚羊猟をせり。然るに、クラーレ毒矢にて射倒したる一匹を、捕獲したる鬣狗の檻際へ置....
「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
すっかり溺れこみ、退役してニューギニア会社へきたのだ。スポーツマン、均斉のとれた羚羊のような肢体。これで、一眼鏡をしコルセットをつければ、どうみても典型的|貴族....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
の木立に、カラカラと石の崩れ落ちる音がする。宗忠は木の切株に上って見つめている。羚羊か猿だろうという。カラカラという音は四辺の寂寥を破って高くきこえる。羚羊の姿....
穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
分けて登る。いかにも、人間の通った道らしくない。大雨の折りに流下する水道か、熊や羚羊どもの通う道だろう。喬木では、ツガ、モミ、シラベ、カツラ、サワグルミ、ニレ等....
案内人風景」より 著者:黒部溯郎
を岩魚釣りで過ごして死んでしまった。喜作は大正十一年の二月、爺ヶ岳裏の棒小屋沢に羚羊猟に行ってた時に、雪崩の下になって、その息子と、愛犬と一緒に死んだ。皆が、山....
秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
河原は益広くなって、水の流れた跡が箒目のように残っている細かい砂の上には、無数の羚羊の足痕が印してある。夏の緑をかなぐりすてた雑木の梢は、瑞々しい黄や紅の闊葉に....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
と口にあてた。 俯目になって登って行くと、不意に行手から獣が跳び出した。「ああ羚羊羚羊」と叫ぶ中に姿は偃松の繁みに隠れる。あたりを見廻したが誰も居なかった。....
黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
は飽きる程長い。途中水楢の大木の根元が洞穴になっているのを見た。熊の穴だそうだ。羚羊の寝た跡もあった。一時間半を費して漸く黒木の多い尾根の頂上に出た。前面が目隠....