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「羽交〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

羽交の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
春泥」より 著者:久保田万太郎
あったら? ――俺に、いま、もしものことがあったら?」 不意にかれはうしろから羽交じめにされた。――いそいでかれはふりほどこうとした。――が、それは、かれの自....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
。然しそれは畢竟猫に捕えられた鼠の悲しい無駄な努力だった。浅田はジリ/\と彼女を羽交締めにした。 静子は繊弱い女の身の弱い心から、殊に対手は今まで親切にして呉....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
、歌調明快でありながら、感動が常識的粗雑に陥るということがない。この歌でも、鴨の羽交に霜が置くというのは現実の細かい写実といおうよりは一つの「感」で運んでいるが....
真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
かた/\》の手を一人が押える、一人は前から胸倉を押えた、一人は背後《うしろ》から羽交責《はがいぜめ》に組付こうとしたが、関取は下駄を穿いており、大きな形《なり》....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
すり、 「……鳥見役、網差、両名立ちあいにてお鶴医者|滋賀石庵《しがせきあん》が羽交《はがい》の下をあらため見たところ、胸もと、……心の臓のまうえあたりに二の字....
魔都」より 著者:久生十蘭
釘づけになっている。その鶴はといえばどうしたものか今日は噴き上げる水も細く幽けく羽交を凋めてションボリとしている。この内気な鶴はこの無数の眼に瞶められて恥かしさ....
白い翼」より 著者:宮本百合子
何でもないことだ。雄鳩は、瞼を閉じた。彼はもう一度雌に寄りそいなおしてから、首を羽交《はがい》の間に埋めた。....
青春」より 著者:宮本百合子
れば、自分は翔びたくて日夜もがいて羽搏くし、そのひとは翔ぼうともせず小さい日向で羽交いの間に首を入れるばかりか、私の脚にいつの間にかついている短い鎖を優しく鳴ら....
日記」より 著者:宮本百合子
要〕学校出席 「何となくすきがあるんです。私は必して不幸ではありません。両親の羽交いの下から一寸首を出して世の中の選ばれて私の前にならんで来るものばかりを見て....
南風」より 著者:宮本百合子
様子を見て歩いて居る。 丁度今朝抱いて居た雛がかえって、母親の茶色のムクムクな羽交の中で、時に、チチチチとつつしみ深い声を出して居る。 麦の芽が萌えた様に、....
ようか月の晩」より 著者:宮本百合子
これを知っている者はありませんでした。お婆さんが糸を巻くのは、もう風見の※さえ、羽交に首を突こんで一本脚で立ったまま、ぐっすり眠っている刻限でしたもの。 〔一九二三年九月〕....
大岡越前」より 著者:吉川英治
とき、男の黒い影は、 「捕ッたっ」 と、おどりかかって、もがき闘う美しい鳥を、羽交い締めにしながら、 「もう、もう、遁しはせん。御用じゃ。御用じゃぞ、お燕」 ....
雲霧閻魔帳」より 著者:吉川英治
な乱暴は」 必死に、爪を立ててもがく娘の口を、彼の掌が、蓋をしていた。そして、羽交いじめに抱いたまま、その顔をのぞき込むと、自分の掌と、痩せこけた娘の顎の間か....
三国志」より 著者:吉川英治
者だ、おぬしは? 曹操の部下か」 「もとよりのこと」と男は、彼のからだを後ろから羽交い締めにしたまま、 「――この声を忘れたか。この俺を見わすれたか」と重ねて云....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
誰か来て――ッ」必死に人を呼ぶその口へ、何者か、大きな掌を蓋してしまった。そして羽交締めに強く抱きすくめた。お米の指が離そうともがく、抱えた両手の力は強い。折も....