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羽子
「羽子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
羽子の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「年末の一日」より 著者:芥川竜之介
燵《ごたつ》へはいり、二三種の新聞を読みはじめた。新聞の記事は諸会社のボオナスや
羽子板の売れ行きで持ち切っていた。けれども僕の心もちは少しも陽気にはならなかった....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
いた。 この家における目下の下宿人は、水戸の外《ほか》に、音楽家の高田圭介と音
羽子の夫妻があり、それからソ連の商人でケノフスキーという人物も滞在していた。 ....
「雛がたり」より 著者:泉鏡花
、桃も李も一斉に開いて、女たちの眉、唇、裾八口の色も皆花のように、はらりと咲く。
羽子も手鞠もこの頃から。で、追
羽子の音、手鞠の音、唄の声々。 ……ついて落いて、....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
を手繰る。またその間に娘子供は羽根を突く。ぶんぶんという鳴弓の声、かっかっという
羽子の音。これがいわゆる「春の声」であったが、十年以来の春の巷は寂々寥々。往来で....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
枕落し、) と、よく私を遊ばせながら、母も少かった、その娘たちと、毬も突き、追
羽子もした事を現のように思出しましたから、それを捜せば、きっと誰か知っているだろ....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
の出じゃないか。絵というと面倒だから図画で行くのさ。紅を引いて、二つならべれば、
羽子の羽でもいい。胡蘿蔔を繊に松葉をさしても、形は似ます。指で挟んだ唐辛子でも構....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
」 「ちょいと、一度これを。」 と、お嬢さんは、硯箱を押させて、仲よしの押絵の
羽子板のように胸へ当てていた『たそがれ』を、きちんと据えた。 「……「ひどい墨だ....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の室の異様な装飾を眺めていた。今入った板戸の上の長押には、土蜘蛛に扮した梅幸の大
羽子板が掲っていて、振り上げた押絵の右手からは、十本程の銀色の蜘蛛糸が斜に扇形と....
「高原の太陽」より 著者:岡本かの子
生活をも戯画化して行く。これを江戸趣味とでもいうのであろうか。青年と老女中は、追
羽子の羽根のように会話を弄んで行くが、かの女は他愛ないもののように取れて、そっと....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
たままの扇子で、さそくに掬ったのが、かえって悠揚たる状で、一度上へはずまして、突
羽子のようについて、飜る処を袂の端で整然と受けた。 「色気はちょっと預りましょう....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
その頃は双六ばかりでなく、歌留多にも歌舞伎に因んだものは少なくなかった。似顔絵の
羽子板だけは今も廃れないが、それでも昔にくらべると三分の一にも足りまい。第一に羽....
「二階から」より 著者:岡本綺堂
ような、長閑な凧のうなりは全然聞かれなくなりました。往来の少い横町へ這入ると、追
羽子の春めいた音も少しは聞えますが、その群の多くは玄関の書生さんや台所の女中さん....
「思い出草」より 著者:岡本綺堂
糸を手繰る。またその間に、娘子供は羽根を突く。ぶんぶんという鳴弓の声、戞々という
羽子の音。これがいわゆる「春の声」であったが、十年以来の春の巷は寂々寥々。往来で....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
ろう。 沼南のインコ夫人の極彩色は番町界隈や基督教界で誰知らぬものはなかった。
羽子板の押絵が抜け出したようで余り目に立ち過ぎたので、鈍色を女徳の看板とする教徒....
「酋長」より 著者:岡本かの子
、この庭に切々感じられた。 「ここに鼬の係蹄が仕掛けてあるよ」「あれが鵯を捉える
羽子だ」そして、「茸を生やす木」などと島吉が指さすのを見ながら、これが東京とは思....