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翔る
「翔る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
翔るの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「狂乱」より 著者:近松秋江
た空には寒く澄んだ風が吹きわたって、茶褐色のうら枯れた大木の落葉がちょうど小鳥の
翔るように高い峰と峰との峡を舞い上がってゆく。愛宕の山蔭に短い秋の日は次第にかげ....
「近世快人伝」より 著者:夢野久作
し、加察加の鮭、鰊と宛然に燎原の火の如く、又は蘇国の空軍の如く、無辺際の青空に天
翔る形勢を示したが、その途端、何気なく差した湊屋の盃を受けて唇に当てたのが運の尽....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
屋の陰に寝ころばっておったもんだでの。」 白鷺はやがて羽を開いた。飛ぶと、宙を
翔る威力には、とび退る虫が嘴に消えた。雪の蓑毛を爽に、もとの流の上に帰ったのは、....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
。薙刀の鋭き刃のように、たとえば片鎌の月のように、銀光を帯び、水紅の羅して、あま
翔る鳥の翼を見よ。 「大沼の方へ飛びました。明神様の導きです。あすこへ行きます、....
「王成」より 著者:田中貢太郎
ようなふうで身を伏せて待った。王の鶉が強い喙でつッかかって来ると、王成の鶉は鶴の
翔るようなふうでそれを撃った。進んだり退いたり飛びあがったり飛びおりたり、ものの....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
が恐らく人麿自身の作であろう。巻九(一七〇〇)に、「秋風に山吹の瀬の響むなべ天雲
翔る雁に逢へるかも」とあって、やはり人麿歌集にある歌だから、これも人麿自身の作で....
「愚かな一日」より 著者:豊島与志雄
いてみた。するとどうだろう、馬は僕を乗せて空中を翔《かけ》っているんだ。天馬空を
翔るとはあのことだね。所がそれに気付くと同時に、僕は頭がぐらぐらとして、真逆様に....
「迷信解」より 著者:井上円了
はまた合して一火となり、一方にありて滅するかと思えば他方にありて現れ、高きものは
翔るがごとく、低きものは走るがごとく、その出没する間は数里の長きに及ぶも、だれあ....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
リエル
恵深い自然に羽を貰ったお前達、
性霊に羽を貰ったお前達は、
軽く挙がって
翔る己の跡に附いて、
薔薇の岡のすみかへ帰れ。
奏楽団
(極めて微かに....
「無宿人国記」より 著者:吉川英治
、油断はせまいぞ」 「その儀は」 と、初めて、明るい一笑を投げて、丈八は、宙を
翔るように、街道を急いで行った。 みだれる雲――疾風の叫び――行く方は宵闇ほど....
「木綿以前の事」より 著者:柳田国男
はなくなった。その前にまず自由に時代の学問に触れて、その空気の中で活き活きと飛び
翔るようにしなければならぬ。いかなる賢母も賢婦人も、私などの見たところでは、ただ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
うむ、泣えたっちゃよかぞ。泣け泣け、おれにつかまれ。」 きょうきょうと、何かが
翔る。 * 「もうよし、君のところへ行こう。」 「ええ、行こう行こ....