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翩
「翩〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
翩の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
掌から申訳ばかりの蘆の芽のような指先が出ているかの女のこどものような手が、意外に
翩翻と翻って、唄につれ毬をつき弾ませ、毬を手の甲に受け留める手際は、西洋人には珍....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
は、鐘巻流での下段八双! 真っ向からかかれば払って退け、突いて来れば搦み落とす、
翩翻《へんぽん》自在の構えである。星を刻むような鋒止先《きっさき》、チカチカチカ....
「人造人間戦車の機密」より 著者:海野十三
闃として、鎮まりかえっていた。 ただ、かの醤の陣営の目印のような高き望楼には、
翩飜と大旆が飜っていた。 その旆の下に、見晴らしのいい桟敷があって、醤主席は、....
「翩翩」より 著者:田中貢太郎
なって、ひどく歓愛しあった。 ある日一人の若い婦人が笑いながら入って来て、 「
翩翩のおいたさん、うんとお楽しみなさいよ。面白いことはいつまでもつづきませんから....
「天草四郎の妖術」より 著者:国枝史郎
銭を投げましたが、不思議なる哉。その小銭は一つとして地上に落るもの無く忽然と又|
翩飜と空に向かって閃めき上り皆雲の中へ這入って了いました。 「何だ、これっぱかり....
「三甚内」より 著者:国枝史郎
相手の男はそれに反してまるで剣術など知らないらしい。身の軽いを取り柄にしてただ
翩翻ともしない度胸で解る。 じっと二人は睨み合っている。 初太刀の袈裟掛け、....
「一週一夜物語」より 著者:小栗虫太郎
が白みはじめたころ、私は、菩提樹の梢をとおして、暁にふるえるユニオン・ジャックの
翩翻たるを見たのである。印度の朝、しかし真実の黎明には遠い。私はチャンド君の寝顔と見くらべ、そう呟いたのであった。....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
を持った右手を頭上にかざすと、独楽を宙へ投げ上げた。 次の瞬間に見えたものは、
翩翻と返って来た長紐と、鳥居の一所に静止して、キリキリ廻っている独楽とであった。....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
々と、主人の兇事も知らぬ顔に、一心に草を食っていた。その鞍壺へ手を掛けると甚内は
翩翻と飛び乗った。ピッタリ馬背へ身を伏せたのは、手裏剣を恐れたためであって、「や....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
く男と女との影法師へ、かぶさるようにして走りかかった。と、男の影法師であろうが、
翩翻と背後へ飛び返ると、二度ばかり白光をひらめかした。と、同時に走りかかって来た....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
」 獅子が並んでお辞儀をすると、すたすたと駈け出した。後白浪に海の方、紅の母衣
翩翻として、青麦の根に霞み行く。 さて半時ばかりの後、散策子の姿は、一人、彼処....
「丸の内」より 著者:高浜虚子
うとしてあせっているのであろうが、われ等の眼には少しもあせっている容子は見えず、
翩翻として広い中庭に乱舞しているように見える。城壁のような無骨な壁と銃眼のような....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
、その間には光沢ある薄桃色の蕎麦の花が今を盛りと咲き競う、彼方此方に蝴蝶の数々が
翩々として花に戯れ空に舞い、雲雀はまた華蔵世界の音楽師は我のみぞと言わぬばかりに....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
ありて、街区は碁盤の目のごとく、江上の行舟は蟻の動くがごとし。 五層楼上望無葉艇
翩翩。 (五層の楼の上から一望すれば果てはなく、広東全市の風と月の鑑賞の権利を一....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
麦や燕麦の畑中を通っていた。行啓の名残で、黄や赤や紫や青やの万国旗が此処でもまだ
翩翻としているその下を、薄い翅のかがやく蜻蛉や蝶々の番いが、地にすれすれに流れた....