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「翻す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

翻すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大川の水」より 著者:芥川竜之介
しさは言うまでもない。岸に近く、船宿の白い行灯《あんどん》をうつし、銀の葉うらを翻す柳をうつし、また水門にせかれては三味線《しゃみせん》の音《ね》のぬるむ昼すぎ....
或る女」より 著者:有島武郎
た。帰ろうと思っている葉子の下心《したごころ》をおぼろげながら見て取って、それを翻す事はできないとあきらめていた。運命に従順な羊のように、しかし執念《しゅうね》....
或る女」より 著者:有島武郎
であったら、どうしておめおめ米国|三界《さんがい》にい続けて、遠くから葉子の心を翻す手段を講ずるようなのんきなまねがして済ましていられよう。葉子が木村の立場にい....
或る嬰児殺しの動機」より 著者:佐左木俊郎
あの時彼女のことを思い出さなかったのか? しかし、若い検事はもはや自分の意見を翻すわけにいかなかった。焼き場で署長らに対して発表した自分の観察を、検察官の立場....
地獄街道」より 著者:海野十三
に、これが貼ってあったのだ」 石炭庫の向うに、大分痛んだ塀が見える。辻永は身を翻すと駈け出した。機械体操をするように、彼はヒョイと塀に手をかけるとヒラリと身体....
」より 著者:海野十三
の扉がコツコツと鳴った。誰かがノックをしているのだ。 「あワワ……」 彼は身を翻すと、部屋の隅に小さくなった。まるで蜘蛛の子が逃げこんだように。 コツ、コツ....
四条畷の戦」より 著者:菊池寛
別の御恩を戴いたこともないだろう。然るに渺たる河内の一郷士正成が敢然立って義旗を翻すに至った動機には、実に純粋なものがあるのだ。学者の研究に依ると、正成は宋学の....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
の中が騒がしくなった。人の走って来る気勢がした。 葉之助は塀へ手を掛けた。身を翻すと塀を越した。 広場を横切って町の方へ走った。 と、誰かと衝突した。 「....
英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
。 仏とアンとの傍に立っていた私服警官は、二人を睨みつけておいて、そのまま身を翻すと、防空壕の入口の方へ駈け上っていった。 また、爆音が聞えた。今度は、よほ....
多神教」より 著者:泉鏡花
に、そのおかめの面を被せい、丑の刻参の装束を剥ぎ、素裸にして、踊らせろ。陰を陽に翻すのじゃ。 仕丁 あの裸踊、有難い。よい慰み、よい慰み。よい慰み! 神職 退れ....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
、困ったものだと、私も途方にくれました。 しかし、いかに困ればといって、素志を翻すわけには行かぬ。そこで私は思案を決め、 「よし、俺は木で彫るものなら何んでも....
香熊」より 著者:佐藤垢石
らをにらんでいる。ところが私らが渓の岸に踏み止まった瞬間、熊のやつ、くるりと体を翻すと同時に一目散に北方に向かって走り出した。人間を見て、逃げだしたのであろう。....
審判」より 著者:カフカフランツ
ようなくだくだしい説明にどうしてもなったし、そのうえ、もちろん彼の決心をけっして翻すことはできなかったが、率直に白状するとそれをいろいろと迷わしたからである。 ....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
二十二日、晴れ。朝来、北風冷を送り来たり、夏衣を脱して冬衣を襲う。海上白波を翻す。スコットランドの連綿たる丘陵を左方に目送しつつ、午前十時リース湾内に入る。....
情鬼」より 著者:大倉燁子
のです。あの人はそれをよく知って居りました。もうこうなってはいくらなだめても心を翻すような女でないということも、彼にはよく分って居りました。 『社会的に殺される....