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「翻る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

翻るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
九十銭で何か食べようか、それとも今一つ何か見ようかという事になる。 浅草の空に翻る旗差し物、鐘、太鼓、鳴り物の響き、鬨《とき》の声、矢叫《やたけ》びの音は、皆....
婦系図」より 著者:泉鏡花
手袋を嵌めたが、念入りに片手ずつ手首へぐっと扱いた時、襦袢の裏の紅いのがチラリと翻る。 年紀のほどを心づもりに知っため組は、そのちらちらを一目見ると、や、火の....
茶の本」より 著者:岡倉覚三
らの精神の働きに関係しないものはいっさい実在ではない。六祖|慧能かつて二僧が風に翻る塔上の幡を見て対論するのを見た。「一はいわく幡動くと。一はいわく風動くと。」....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
に瞬間を鋭く啄き合う。身体に燃えるぬめりを水で扱き取ろうとして異様に翻り、翻り、翻る。意志に礙って肉情はほとんどその方へ融通してしまった木人のような復一はこれを....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
いう始末、まァ長え眼でごろうじて下せいと、あなかしこあなかしこ 空に五月の鯉の翻る朝 著者 残されたる江戸 江戸ッ児の教育 十九世紀に遺された女と子供の研....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
の庭から飛んで来た。丸山さんは庭に下りて団扇を揮うて螢を打った。浴衣の袖がさっと翻る。八手の青葉がちらちら揺らぐ。螢は危く泉水の面に落ちようとしてやがて垣を掠め....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
め、同士討ちをさせるがためであった。 はたして信徒達は騒ぎ立った。風に木の葉が翻るように、百畳敷の大広間を、右往左往に逃げ惑った。 「裏切り者がいる! 裏切り....
薬草取」より 著者:泉鏡花
る――二片三片、虚空から。―― 「左右へ傾く舷へ、流が蒼く搦み着いて、真白に颯と翻ると、乗った親仁も馴れたもので、小児を担いだまま仁王立。 真蒼な水底へ、黒く....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
月物語』の中のいずれの章であったか、俺れが今度旅から帰るのは葛の葉の裏が白く風に翻るころだろうといった意味の文章があった。葛の葉の裏の白さは初秋の空白を示してい....
現代日本の思想対立」より 著者:戸坂潤
ある。 全国青年団は「国民精神作興旗」を戴き、神聖な富士山の頂きには大日章旗が翻るという風景が、至るところに点出される。帝展の第四部工芸品部には日本刀が出品さ....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
江の楽浪の比良山を吹きおろして来る風が、湖水のうえに至ると、釣している漁夫の袖の翻るのが見える、という極く単純な内容であるが、張りある清潔音の連続で、ゆらぎの大....
五月の唯物観」より 著者:寺田寅彦
た。理由のない不安と憂鬱の雰囲気のようなものが菖蒲や牡丹の花弁から醸され、鯉幟の翻る青葉の空に流れたなびくような気がしたものである。その代り秋風が立ち始めて黍の....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
身振りは反唱句の支点である。尽くることなく種々の面相に変わり得る彼の顔は、烈風に翻る布の裂け目よりも、更にゆがみくねった変てこな様々の渋面を作っていた。けれど不....
地上」より 著者:島田清次郎
しかった。ああ、漫々たる大海原を白鳥のように乗り切って来る愛すべき奴よ! 船首に翻る真赤な旗の間から船頭の逞しい裸体の動作が見え、やがて船首が海岸の方へ真正面に....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
の喝采を得たるものに賞品を授与す。 十一日(日曜)、快晴。ただし北風強く、浪花翻る。午後二時半、はるかに山影および灯台を望む。去月二十一日以来、はじめて陸端に....