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耀く
「耀く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
耀くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「杯」より 著者:森鴎外
のを借《か》そうかしら」 愍《あわれみ》の声である。 そして自然の銘のある、
耀く銀の、大きな杯を、第八の娘の前に出した。 第八の娘の、今まで結んでいた唇が....
「古き小画」より 著者:宮本百合子
ある。けれども自分には何があるだろう? 月ならば、沈んだ日の照り返しで、あんなに
耀くことも出来る。自分は、奇妙な因縁で、地に堕ちた月だ。未だ成り出でない星ともい....
「加護」より 著者:宮本百合子
い美しさを感じさせた。 ところ、どころの靄の切れめからは、チカチカと粉のように
耀く杉の黄葉や樫の梢が見える。一間二間と、歩みにつれて拓けて行く足下の往来の上で....
「美しき月夜」より 著者:宮本百合子
い汗のために水蜜桃のような顎――あらゆるものが彼女の母性《マザーフット》を囲んで
耀くように見えた。壊れかけた玩具も、磨かれた家具も、すべてが彼女の影を受けて始め....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
んも怪しむべきにあらず、もし尋常の人のごとく立ちて坐《ましま》さんには、尻のてり
耀くというも似つかわしからぬをや」と言ったはもっともだ。それに介《かい》に手を挟....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
作などに描かれているように怒りや憎しみの裏を愛が流れ、争いや呪いのなかに純な善が
耀くのである。私はそれらの内面の動揺の間にしだいに徳を積み、善の姿を知ってゆきた....
「夜の靴」より 著者:横光利一
る線がいのち毛で描かれた波のようだ。生きながら霊魂の歩くには適した美しい黄金色の
耀く路一本を、間もなく自分が死ねば、こうして子供らも会いに来てくれるにちがいない....
「私の覚え書」より 著者:宮本百合子
ずその裡から人間生活に大切な何ものかを見出し、撓《たゆま》ず絶望せず溌溂と精神の
耀く文明を進めて行こうとする人間の意慾の雄々しさは、その古風な言葉の裡にさえも尚....
「貧乏」より 著者:幸田露伴
「何が何でもわたしゃアいいよ、首になっても列ぼうわね。 面は火のように、眼は
耀くように見えながら涙はぽろりと膝に落ちたり。男は臂を伸してその頸にかけ、我を忘....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
の恋しい女が燈火のもとにいて、嬉しそうににこにこしていた時の、何ともいえぬ美しく
耀くような現身即ち体そのものの女が、今おもかげに立って来ている、というのである。....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
るほど、深邃なる孟宗竹林、その中を通って、左の方へ小路が続いている。 舞台一面、
耀く緑の木洩日に充ち溢れている……… 家の土間には、造麻呂が坐り込んで「唄」をう....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
。
高く湛えた海の上へ、己はさそい出されて、
我足の下には万象の影をうつす水鏡が
耀く。
新なる日が新なる岸へ己を呼ぶ。
軽らかに廻る火※の車が己を迎える。
※....
「三国志」より 著者:吉川英治
である。呂布は、そこここを飛びかう蝶にも、睡魔に襲われ、眼をあげて、夏近い太陽に
耀く木々の新翠や真紅の花を見ては、「――貂蝉は何をしているか」と、煩悩にとらわれ....
「三国志」より 著者:吉川英治
うえにこう宣した。朝に侍す百官は粛として咳声もない。綸言豈疑義あらんやと人はみな
耀く目を以て答え、血のさしのぼる面をもって決意をあらわしていた。 すると趙雲子....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
したロッペン鳥の風景は、空の明るに従っていよいよ細かに黒白分明し、その飛行はまた
耀く風の幅となり、川となり、旗となり、帆となり、吹雪となり、波濤となり、無数に白....