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「老婆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

老婆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
《はたち》ばかりの、醜い、片目の侍が、平骨《ひらぼね》の扇を上げて、通りかかりの老婆を呼びとめた。―― むし暑く夏霞《なつがすみ》のたなびいた空が、息をひそめ....
羅生門」より 著者:芥川竜之介
いろ》の着物を着た、背の低い、痩《や》せた、白髪頭《しらがあたま》の、猿のような老婆である。その老婆は、右の手に火をともした松の木片《きぎれ》を持って、その死骸....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
娘であった。そうしてまたある者は弓よりも猶《なお》腰の曲った、立居さえ苦しそうな老婆であった。彼等は草山の上まで来ると、云い合せたように皆足を止めて、月夜の空を....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
。それはいつか細って枯れはててしまう。 私はこれ以上をもうお前にいうまい。私は老婆親切の饒舌の為めに既に余りに疲れた。然しお前は少し動かされたようだな。選ぶべ....
紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
らずそれほどに年寄りじみないが、姉のおとろえようは驚くばかり、まるでしわくちゃな老婆になってしまってる。 予はしばらく背を柱に寄せて考えるともなく、種々に思い....
転機」より 著者:伊藤野枝
りは思いがけなく、まだ新らしい高い堤防で遮られている道ばたで、子供を遊ばせている老婆に私はまた尋ねた。老婆はけげんな顔をして私達二人の容姿に目を留めながら、念を....
妖僧記」より 著者:泉鏡花
めむとせり。 珍客に驚きて、お通はあれと身を退きしが、事の余りに滑稽なるにぞ、老婆も叱言いう遑なく、同時に吻々と吹き出しける。 蝦蟇法師は※りて、歓心を購え....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
て、船に乗ろうとは思いもかけぬ。 いやいや思いもかけぬといえば、荒物屋の、あの老婆。通りがかりに、ちょいとほんの燐枝を買いに入ったばかりで、あんな、恐ろしい、....
歯車」より 著者:芥川竜之介
いるかを知り悉していた。徐ろに患者を毒殺しようとした医者、養子夫婦の家に放火した老婆、妹の資産を奪おうとした弁護士、――それ等の人々の家を見ることは僕にはいつも....
良夜」より 著者:饗庭篁村
して再び花は咲かず」と俚歌を低声に唄うて暗に死をとどむる如く誡め行く職人もあり。老婆などはわざわざ立かえりて、「お前さんそこにそうよっかかって居ては危のうござい....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
を、ドン・コサック兵の一隊のように、駈けてゆくのがきこえることもあった。すると、老婆たちはおどろいて目をさまし、しばらく聞き耳を立て、騒ぎががたがたと通りすぎる....
一老人」より 著者:犬田卯
ってしまっていた。私の記憶にあるのは、陽だまりに草履や笠を手づくりしている一人の老婆と、ささやかな呉服太物の包みを背負って近村を行商して歩いていた四十先きの女房....
」より 著者:犬田卯
戸、かならず誰か一人出席のこと――という役場からの「ふれ」を隣家へ廻して、そこの老婆としばらく無駄話を交換し、やがて何か見馴れぬ洋服姿の男が自家の門口を入って行....
雪柳」より 著者:泉鏡花
出したのは、私が東京へ出ました当時「魔道伝書」と云う、変怪至極な本の挿画にあった老婆の容体で、それに何となくそのままなんです。 ――「魔道伝書」ようございます....
活人形」より 著者:泉鏡花
といえる悪僕一人を留め置きて、その余の奴僕は尽く暇を取らせ、素性も知れざる一人の老婆を、飯炊として雇い入れつ。こは後より追々にし出ださんずる悪計の、人に知られん....