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老尼
「老尼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
老尼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
合掌|看経《かんきん》を怠らぬ年老いた尼と、年若い尼のふたりが見うけられました。
老尼はいうまでもなくあの老婆、若尼は不良の夫をいさめてついにいさめきれなかったあ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
げに、しきりに心を苦しめているのが、そう思って見れば他目《よそめ》にも見えます。
老尼の住んでいる庵《いおり》は、昔から伝えられた名をそのままに燈外庵と呼ばれてい....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
の時これを惜んで一夜を泣き明したのは、昔抽斎の父|允成の茶碗の余瀝を舐ったという
老尼|妙了である。妙了は年久しく渋江の家に寄寓していて、毎に小児の世話をしていた....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
さえも白金のように白いのだから。 四十二 火を吹き消した有髪の
老尼は「鯱丸」とまたも命令的に云った。 「これでよろしい、方向《むき》をお変え!....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
を進めておりましたが、ふと、参考の書を求めんと、書棚に立った時から、この若々しい
老尼の頭に魔がさしました。 というのは、参考書として、仏典の字引を求めて来るつ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
であるが、桐壺の方の生まれてきた当時の事情などはまだ正確に話してなかった。それを
老尼はうれしさのあまりに病室へ来ては涙まじりに、昔の話を身じまいをしながら姫君へ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
な姿で現われたのではないかと疑われもした。 一行は二日ほどここに滞留していて、
老尼と拾った若い貴女のために祈りをし、加持をする声が絶え間もなく聞こえていた。宇....
「法華僧の怪異」より 著者:田中貢太郎
院。其処に役行者自作の像があって、国宝に指定せられているが、其の寺院に名音と云う
老尼がいた。 私が其の名音に逢った時は、昭和三年で六十位であった。其の名音は、....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ぱいはいってる籠《かご》をもって、列から列へと歩き回っていた。快活な太った一人の
老尼が、腕に二つの大きな籠をさげて市場を回り、神様のことを語りながら、恥ずかしげ....
「雪霊記事」より 著者:泉鏡花
が、木の芽峠を蛍に飛んで、窓にはその菖蒲が咲いたのです――夢のようです。……あの
老尼は、お米さんの守護神――はてな、老人は、――知事の怨霊ではなかったか。 そ....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
したかと思うと、再び法水が現われた。そして、検事と獣のような顔で、睨み合っている
老尼に慇懃な口調で云った。 「御安心下さい。智凡尼の偏見が、これですっかり解けま....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
田で張り付けてある。仮住居ですけれどもなかなか綺麗にしてある。そこへ招待された。
老尼僧の言われるには、私はもう十五、六年間の病人でどうせ老病であるから治る見込は....
「澪標」より 著者:外村繁
》の中央、観音寺山城の鬼門にあたると伝えられているところに、小堂宇がある。一人の
老尼が守っている。春秋の彼岸会に、地獄極楽の絵がその堂内に掛けられる。こんな小堂....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
気持だったのである。こう、彼はやさしいことばのつもりで話しかけた。
「…………」
老尼は、そこへ屈みこんだ、武蔵の顔を見てふるえていた。
南天の実を聯ねたような....
「紅梅の客」より 著者:吉川英治
無い。ことし七十歳である。それでいて“無手童女像”といってよいほどその小づくりな
老尼振りはにこやかで美しい。口で優雅な字を書く、また絵も描く。かつては某画家の妻....