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「老眼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

老眼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
温泉だより」より 著者:芥川竜之介
はわたしよりもむしろ「な」の字さんです。「な」の字さんはカメラをぶら下げたまま、老眼鏡《ろうがんきょう》をかけた宿の主人に熱心にこんなことを尋《たず》ねていまし....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
せらるべく候か。」 「お母さんはどっち枕だえ?」 叔母は半ばたしなめるように、老眼鏡の眼を洋一へ挙げた。 「東枕《ひがしまくら》でしょう。この方角が南だから。....
少年」より 著者:芥川竜之介
《そうそう》母のところへ彼の作品を見せに行った。何か縫《ぬい》ものをしていた母は老眼鏡の額越《ひたいご》しに挿絵の彩色へ目を移した。彼は当然母の口から褒《ほ》め....
手紙」より 著者:芥川竜之介
君やS君と温泉宿の後ろにあるY山へ登りに行ったはずです。この奥さんは僕を見ると、老眼鏡《ろうがんきょう》をはずして挨拶《あいさつ》しました。 「こちらの椅子《い....
恩を返す話」より 著者:菊池寛
は、藩老細川志摩から早使《はやづかい》をもって城中に呼び寄せられた。 志摩は、老眼をしばたたきながら、 「甚兵衛、大切な上意じゃぞ」と前置をして、「このたび、....
恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
をおおっていた。老僧は、灰色をなした目をしばたたきながら、実之助を見上げて、 「老眼衰えはてまして、いずれの方ともわきまえかねまする」と、いった。 実之助の、....
忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
者を傷つけられては、公儀に聞えても容易ならぬ儀でござる。平にお止り下されい」と、老眼をしばたたきながら、必死になって申し上げた。 「爺か! 止めだて無用じゃ。今....
仇討三態」より 著者:菊池寛
武運拙くして会わざること是非なしと諦め、かような姿になり申したのじゃ」 老僧は老眼をしばたたいた。 「近頃神妙に存ずる。愚僧は、今申した通りの者じゃ。御自分の....
義民甚兵衛」より 著者:菊池寛
ちを案内する。庄屋正面へ出る。村人たち、水を打ったように静かになる) 茂兵衛 (老眼をしばたたき一座を見回しながら)かような姿で、御一統にお目にかかり面目のうご....
ある抗議書」より 著者:菊池寛
「姉さんも、兄さんも、やられた」と、云いました。父は遉に声を立てませんでした。老眼をしばたたきながら、黙って家の中へはいって行きました。私が父の後から引返して....
火星探険」より 著者:海野十三
の餞別品の中から二つ三つ奇抜なものを紹介すると、トミーという少年は、おじいさんの老眼鏡のレンズを利用して手製した不恰好なカメラを贈ってくれた。そしてもしアリゾナ....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
笑いながら答えた。 「や、どうも、それは不思議な妄想ですな。いや、こうなると私の老眼を神様に感謝せざるを得ませんな。なるほど私もあの窓に可愛らしい女の顔を見まし....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
れでその言葉がかれの口を衝いて洩れてくる。老刀自はまたかと思って、取り合わずに、老眼鏡をかけて針のめどに糸を通そうとして熱中している。 鶴見はなお思いつづけな....
僕の読書法」より 著者:織田作之助
するけれど、この人達は電車の中でも読み、活字の大小を言わず(もっとも鴎外は母親の老眼のために自分の著書の活字を大きくしたが)、無類の多読を一生の仕事のようにして....
深川女房」より 著者:小栗風葉
「阿父さん……」 「阿父さんも皆お前の傍にいるよ。新造、寂しいか?」と新五郎は老眼を数瞬きながらいざり寄る。 「どうかお光の力になってやって……阿父さん、お光....