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老翁
「老翁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
老翁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「武蔵野」より 著者:国木田独歩
らん》に倚《よ》って何事をか語り何事をか笑い、何事をか歌っていた。その中に一人の
老翁《ろうおう》がまざっていて、しきりに若い者の話や歌をまぜッかえしていた。月は....
「富士」より 著者:岡本かの子
の音が聞えて来る。 晩秋の夕の露気に亀縮《かじか》んだ山の祖神《おやのかみ》の
老翁は、せめてこのかがり火に近寄ってあたりたかったが、それは許されないことである....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
たりあざけったり、讃めそやしたりする。その数のうちには、トルストイのような自髯の
老翁も見えれば、メテルリンクのようなハイカラの若紳士も出る。ヒュネカのごとき活気....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
明けると、奥の壁の下に小さい人間を見いだした。 人は身のたけ僅かに一尺余、形は
老翁の如くで、全身に毛が生えていた。彼は左の膝を長くひざまずいて、左の手を垂れた....
「転機」より 著者:伊藤野枝
そういわれれば何かの書いたものでT翁という人は知っていた。義人とまでいわれたその
老翁が、何かある村のために尽したのだということも朧ろ気ながら知っている。しかしそ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
内して来るのであった。 こういうことが半月ほども続くうちに、喬生のとなりに住む
老翁が少しく疑いを起こして、壁に小さい穴をあけてそっと覗いていると、紅や白粉を塗....
「河霧」より 著者:国木田独歩
杉の杜の薄暗い陰でビカビカ輝らせて、黙って立っているのを見るとだれも薄気味の悪い
老翁だと思う、それが
老翁ばかりでなく「杉の杜」というのが、岩――の士族屋敷ではこ....
「わかれ」より 著者:国木田独歩
鬱陶しげなる、かの青年は孫屋の縁先に腰かけて静かにこれらをながめそのわきに一人の
老翁腕こまねきて煙管をくわえ折り折りかたみに何事をか語りあいては微笑む、すなわち....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
笑いをして、翁は右の歌を書き示した。加茂季鷹の作だというのである。 父親がこの
老翁を嫌うのは
老翁その人を嫌うのではない。それが鶴見に分らぬでもなかった。 或....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
たのやら、まるでそれは地の底からでも湧き出したかの様。白髪を後茶筌に束ねた白髯の
老翁。鼠色の道服を着し、茯苓突きの金具を杖の代りにして立っていた。 「でかしたで....
「荘子」より 著者:岡本かの子
に順って消極に拠る説に多く傾いて来た。しかし、六尺豊な体躯を持っている赫顔白髪の
老翁の太古の風貌を帯べる考えと多情多感な詩人肌の彼の考えと到底一致する筈がない。....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
ごとく草|蓬々であった。背丈を没する葦さえそれに交って、秋になると白褐色の穂を、
老翁の長髯のようにみごとに風になびかせた。数年この方、彼は耕さなかったのである。....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
集まった。 塚田巡査は町の者共を従え、市郎は我家の職人や下男を率いて、七兵衛|
老翁に案内させ、前後二手に分れて現場へ駈向った。夜の平和は破られて、幾十の人と火....
「古事記」より 著者:太安万侶
れで河上に人が住んでいるとお思いになつて尋ねて上《のぼ》つておいでになりますと、
老翁と老女と二人があつて少女を中において泣いております。そこで「あなたは誰《だれ....
「茂吉の一面」より 著者:宇野浩二
に白いへりが附いてゐる。これには一つの素描も残つて居り、徹底した写実である。この
老翁は豊かな面立で、顔の皺まで一つ一つ丁寧に描いてある。前額から顱頂にかけて薄く....