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耳
「耳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
耳の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
73
前の石燈籠の下部の後ろ。男が一人|佇《たたず》んだまま、何かに
耳を傾けている。
74
この男の上半身。もっとも顔だけ....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
白さには、悪者の土蜘蛛も、追々《おいおい》我を忘れたのでしょう。始は洞穴の入口に
耳をつけて、じっと聞き澄ましていましたが、とうとうしまいには夢中になって、一寸二....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
のもそのためだなぞと、妙な理窟をいい出すのです。そんな時はわたしが何といっても、
耳にかける気色《けしき》さえありません。ただもうわたしは薄情だと、そればかり口惜....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
雲州《うんしゅう》松江《まつえ》へ赴《おもむ》こうとしている事なぞも、ちらりと小
耳《こみみ》に挟んでいた。求馬は勿論喜んだ。が、再び敵打の旅に上るために、楓と当....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
藤左衛門と忠左衛門とは、顔を見合せて、笑った。復讐の挙が江戸の人心に与えた影響を
耳にするのは、どんな些事《さじ》にしても、快いに相違ない。ただ一人|内蔵助《くら....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
も髪は――一体読者の要求するのはどう云う髪に結《ゆ》った女主人公ですか?
主筆
耳隠《みみかく》しでしょう。
保吉 じゃ
耳隠しにしましょう。いつも髪を
耳隠しに....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
もとにも嘶きに似たものがこみ上げるのを感じた。この声を出しては大変である。俺は両
耳へ手をやるが早いか、一散《いっさん》にそこを逃げ出してしまった。……」
けれ....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
ども生憎《あいにく》その声も絶え間《ま》のない浪《なみ》の音のためにはっきり僕の
耳へはいらなかった。
「どうしたんだ?」
僕のこう尋ねた時にはMはもう湯帷子《....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
りを続けました。しかし睡気はおいおいと、強くなって来るばかりです。と同時に妙子の
耳には、丁度|銅鑼でも鳴らすような、得体の知れない音楽の声が、かすかに伝わり始め....
「狂女」より 著者:秋田滋
ごともなく過ぎた。その将校には、前もってこの家の主婦が病気で隣室に寝ていることが
耳に入れてあったので、彼のほうでも、そのことは別に気にもとめなかった。ところが、....
「寡婦」より 著者:秋田滋
がて起ち上って、私よりも背丈が低かったので、爪さきで背伸びをするようにして、私の
耳もとに口を寄せると、私の名、それも呼名を、優しい、親しげな、美しい声で「ジュヌ....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
くいいかげんにまとめあげたようなからだつきなのだ。頭は小さく、上が平らで、大きな
耳と、大きな緑色のガラスのような眼と、鷸の嘴のように長い鼻とがくっついているさま....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
いか、その辺の闇のなかで呻くような声が幽かに聞えるようだった。彼はながい間じッと
耳を澄して聞いていた。ある時は右の方に、またある時は左の方に、絶えず何かしら聞え....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
しそうな叫び声のような、何だか解らない、悲痛な、物狂おしいものが、ひっきりなしに
耳に這入ってくる。それはまた、足をむずむず歩く。足は、行きたい、そういう場面が見....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
赤児の腹のところに、三角にくけた胴巻が巻きつけてありました。伊作は赤児の泣くのも
耳に入らないと言うように、その財布を取り上げて、片方の端を持って振り廻して見ると....