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「耳底〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

耳底の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
見ものだよ」といっていた。その言葉が特別に園に縁遠い言葉としてかえっていつまでも耳底に残った。 三等車の中央部にあるまん丸な鋳鉄製のストーブは真赤に熱して、そ....
オリンポスの果実」より 著者:田中英光
その夜、フォックス劇場《シアタア》できいた『君が代』の荘厳《そうごん》さは、なお耳底にのこる、深刻なものがありました。シュウマンハインクとかいう、とても肥《ふと....
恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
瞠った目をそのまま閉じてしまうことはできなかった。そして、ぴゅんという音の余韻が耳底に続き、その中で正勝の、安心していろ! という声が聞こえるのだ。いつまでもい....
十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
科学は政治家に征服されてこそ、真の偉力を発揮するのです」 このときミルキ閣下の耳底には、音楽浴の行進につれて国民の口からハッハッと吐きだされる苦悩の呻き声がア....
省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
。間もなく第三の三浦糸子射殺事件が更に大々的活字で報道されるのかと思うと、警部の耳底に、新聞社の輪転機の轟々たる響がにわかに聞こえてくるようだった。 「射撃手―....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
だか夢をみていたのではあるまいかという気がした。 しかし彼は確かに悲鳴を自分の耳底に聞いたのだった。そして悲鳴などは、いまの彼として聞いてはならぬものだった。....
蠅男」より 著者:海野十三
醒めたる麗人 電話が切れて、不気味な機関銃の音も聞えなくなった。しかし帆村の耳底には、微かながらも確かに聞いた機関銃の響きがいつまでもハッキリ残っていた。 ....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
は知らざりき。かの時別荘の門に送り出でて「早く帰ってちょうだい」と呼びし声は今も耳底に残れど、今はたれに向かいて「今帰った」というべきぞ。 かく思いつづけし武....
李陵」より 著者:中島敦
》で自分の手をとり泣いて遺命《いめい》した父の惻々《そくそく》たる言葉は、今なお耳底《じてい》にある。しかし、今|疾痛《しっつう》惨怛《さんたん》を極《きわ》め....
暗号の役割」より 著者:海野十三
凄文句を叩きつけ合う。時々声高になって言葉に火花が散るとき、かれ袋探偵の酔払った耳底に、その文句の一節が切れ切れにとびこむ…… 水鉛鉱のすばらしい鉱山が見つか....
オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
事が出来るだろう。然し、この場合もし胸腔を圧迫したとしたら、自分が口にした音が、耳底には異なって響くに相違ないのだ。そうすると。それで熊城君、九十郎が半聾である....
土竜」より 著者:佐左木俊郎
市平も梅三爺も、村の人達の、「市平も、偉ぐなったもんだな。」という声を、自分の耳底に聞くような気がした。――梅三爺は、自分の伜ながら、市平があまりに偉くなって....
キド効果」より 著者:海野十三
力で室内の空間を圧し拡げていった。 レールの上に狂奔乱舞する車輪の殷々たる響が耳底を流れてゆく――それだけのことの感覚で、乗客たちは自分が生きているということ....
」より 著者:岡本かの子
はいらっしゃいますか。 学生の丁寧に落着いた言葉が、初め鼓膜まで硬直した京子の耳底に微かに聞えて、だんだんはっきりと聞えて来た。それにつれて京子の張り切った神....
芝、麻布」より 著者:小山内薫
字通りに口角泡を飛ばして、当時の旧文芸を罵倒した。あの刺すような皮肉は、今もなお耳底に残っている。 今の竜土軒は、先代夫婦の亡きあとを承けて、好人物らしい養嗣....