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耳盥
「耳盥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
耳盥の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
わ》えながら、顔を洗いに縁側《えんがわ》へ行った。縁側にはもういつもの通り、銅の
耳盥《みみだらい》に湯を汲んだのが、鉢前《はちまえ》の前に置いてあった。
冬枯....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
やき》だけが正面に見えて、面《かお》は更に見えませんでした。 俯向いている下に
耳盥《みみだらい》が一つあって、俯向いているのはその人が今、巾《きれ》でもって面....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
取乱した書き物、縫物のほかに、屏風の外へ急に突きやったらしい、櫛箱《くしばこ》、
耳盥《みみだらい》、そんなようなものが眼に触れると、北原はなんだか、ここで今まで....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
折りの裾《すそ》に絵をかいた障子屏風《しょうじびょうぶ》を廻《めぐ》らし黒ぬりの
耳盥《みみだらい》を前におき、残っている歯をお歯黒で染めた。銭亀《ぜにがめ》ほど....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
蚊虫《かむし》がフヨフヨと飛んでいる夕暮れでうす暗い障子のかげで、はげた黒ぬりの
耳盥《みみだらい》を片手にもたせて、上をむきなさいといわれた。おじいさんの膝頭《....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
の中でも一といって二とさがらねえ見識《けんしき》の高いお方。毎朝、手洗の金蒔絵の
耳盥《みみだらい》をそのたびにお使いすてになるというくらいの癇性。殿さまがお話に....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
った。 「よし、……身清めはこれでいい。……そしての菊王」 「はっ」 菊王は、
耳盥の水を、縁の欄から、すぐ下の中川の流れへこぼして。 「次は、御装束でございま....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
、お妻の局がお薬湯の天目をささげ、また、ほかの局も、お手ふきやら、ぬる湯を入れた
耳盥などを持って、廊から廊を、執権のいる表小御所のほうへ渡って行った。 これは....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
。麗子、鈴を引いてくれい」 遠くで鈴が鳴った。 小侍が、廊の橋をかけてくる。
耳盥に湯をといいつける。調うと、几帳や壁代で注意ぶかく風ふせぎを立て、彼女は、義....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
と、近侍たちのほうをみていいつけた。 「はい」 するとすぐ、敏捷に、いつもの
耳盥と櫛とを持って、彼のうしろに小膝を折った小武者があった。 尊氏の髪を手がけ....