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耽溺
「耽溺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
耽溺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
のような楽しさがたわいもなく一週間ほどはなんの故障もひき起こさずに続いた。歓楽に
耽溺《たんでき》しやすい、従っていつでも現在をいちばん楽しく過ごすのを生まれなが....
「青木の出京」より 著者:菊池寛
人生の本当のものに対する感激ではなくして、人生の虚偽に対する危険なる感激――とに
耽溺《たんでき》している彼には、そうした良心の声は、ほとんどなんの力さえなかった....
「ゼラール中尉」より 著者:菊池寛
たものでかなり上品な味を持っていたが、パリに二年も留学して、そこのカフェー生活に
耽溺《たんでき》したことのある大尉は、最初の一杯を飲み干すと、 「うまいことはう....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
れむのを自己に阿るものとのみ云い退けられるものであろうか。縦令道徳がそれを自己|
耽溺と罵らば罵れ、私は自己に対するこの哀憐の情を失うに忍びない。孤独な者は自分の....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
でそこの図書館を焼払った。彼の後継者たる代々の皇帝はひたすらに狂気じみた享楽欲に
耽溺の度を深めていった。こうして自然の研究者らは次第に跡を絶ってゆくのであった。....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
中されて初めて真の意義を発揮する。 特に私の強調したいのは、西洋人が物質文明に
耽溺しているのに、われらは数千年来の父祖の伝統によって、心から簡素な生活に安んじ....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
な理屈ッぽい考えを浮べながら筆を走らせていると、どこか高いところから、 「自分が
耽溺しているからだ」と、呼号するものがあるようだ。またどこか深いところから、 「....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の奇妙な文身のような創紋はどうして作られたのだろうか? これこそ、奇を嗜み変異に
耽溺する、君の領域じゃないか」と剛愎な彼に似げない自嘲めいた笑を洩らすのだった。....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
う。――しかるにもかかわらず、迷いは、その叔母さんに俥賃を強請って北廓へ飛んだ。
耽溺、痴乱、迷妄の余り、夢とも現ともなく、「おれの葬礼はいつ出る。」と云って、無....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
にして、ファロー(指定の骨牌一組のうちから出て来る順序を当てる一種の賭け骨牌)に
耽溺せんがために、みなその部屋に集まって来た。 かれらは慇懃な召使いの大勢立っ....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
に外ならない。それはそれで好いのである。その中でも、藤村は啓蒙に心を傾け、花袋は
耽溺に生を享楽する。それぞれのちがいはある。 藤村が啓蒙に心を傾けたところは、....
「唇草」より 著者:岡本かの子
の豊かな夢をも奪い取って置きながら、三年たつか経たないうちに、自分の勝手な失望に
耽溺する尾佐を無責任だと憎まないわけにはいかない。 けれども、現実的にも現実な....
「斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
小さい弟(今は医学士となっている)と一緒に暮していたから自然謹慎していた。緑雨の
耽溺方面の消息は余り知らぬから、あるいはその頃から案外コソコソ遊んでいたかも知れ....
「明治の文学の開拓者」より 著者:内田魯庵
うものは小説が下手なものだと思ったばかりであるが、親だとか伯父だとかが私が小説に
耽溺するのを頻りに喧ましくいって「下らぬ戯作などを読む馬鹿があるか」と叱られるた....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
代らしい歌人である。しかも身を以て隠者の典型を示した人である。しかしながら古典に
耽溺するというよりも、自分をささやくことに、一層の親しみと、避けがたい宿命とを見....