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「聞こえる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

聞こえるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十本の針」より 著者:芥川竜之介
でいる中に一人の話している声は決して聞こえないと思われるであろう。が、事実上必ず聞こえるのである。わたしたちの心の中に一すじの炎の残っている限りは。――もっとも....
偸盗」より 著者:芥川竜之介
、何もない。もしその中に一点でも、人なつかしい火がゆらめいて、かすかなものの声が聞こえるとすれば、それは、香の煙のたちこめた大寺《だいじ》の内陣で、金泥《きんで....
或る女」より 著者:有島武郎
世を抱いたまま黙ってすわり続けていた。間遠《まどお》に日本橋を渡る鉄道馬車の音が聞こえるばかりで、釘店《くぎだな》の人通りは寂しいほどまばらになっていた。 姿....
或る女」より 著者:有島武郎
像をしたり口を出したりしていいものかどうかもわたしわかりません。たいへん独善的に聞こえるかもしれませんが、そんな気はなく、運命にできるだけ従順にしていたいと思う....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
時というのにもうその界隈は夜ふけ同様だ。どこの家もしんとして赤子の泣く声が時おり聞こえるばかりだ。ただ遠くの遊郭のほうから、朝寝のできる人たちが寄り集まっている....
親子」より 著者:有島武郎
部氏も明日は早くここに着くことになっていますし」 それが父には暢気な言いごとと聞こえるのも彼は承知していないではなかった。父ははたして内訌している不平に油をそ....
クララの出家」より 著者:有島武郎
店ももう仕舞って寝しずまったらしい。女猫を慕う男猫の思い入ったような啼声が時折り聞こえる外には、クララの部屋の時計の重子が静かに下りて歯車をきしらせる音ばかりが....
星座」より 著者:有島武郎
だ起きられんのか」 そう廊下から不必要に大きな声を立てたのは西山だった。清逸は聞こえる聞こえないもかまわずに、障子を見守ったまま「うん」と答えただけだった。朝....
真夏の夢」より 著者:有島武郎
――お助けください」 とおかあさんはいのりました。 と黒鳥の歌が松の木の間で聞こえるとともに馬どもはてんでんばらばらにどこかに行ってしまって、四囲は元の静け....
海の使者」より 著者:泉鏡花
み出す、とまたきりりりりと鳴いた。 「なんだろう」 虫ではない、確かに鳥らしく聞こえるが、やっぱり下の方で、どうやら橋杭にでもいるらしかった。 「千鳥かしらん....
絵本の春」より 著者:泉鏡花
が、左右の土塀へ、そこを蹈むように、とろとろと響いて、しかもそれが手に取るように聞こえるのである。 ――このお話をすると、いまでも私は、まざまざとその景色が目....
婦系図」より 著者:泉鏡花
」 とお蔦は振向いて低声で嗜め、お源が背後から通るように、身を開きながら、 「聞こえるじゃないか。」 目配せをすると、お源は莞爾して俯向いたが、ほんのり紅く....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
ら雫が垂れるから、骨を絞る響であろう――傘の古骨が風に軋むように、啾々と不気味に聞こえる。 「しいッ、」 「やあ、」 しッ、しッ、しッ。 曳声を揚げて……こ....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
跫音を立てなかった処へ、屋根は熱し、天井は蒸して、吹込む風もないのに、かさかさと聞こえるので、九十九折の山路へ、一人、篠、熊笹を分けて、嬰子の這出したほど、思い....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
細道じゃ。) と童謡を口吟んで通ったと云うだけで、早やその声が聞こえるようで、」 僧は魅入られたごとくに見えたが、溜息を吻と吐き、 「まずお....