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聞取
「聞取〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
聞取の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
うがに、お耳に入れねばなりませぬ。お腰元衆もお執成。(五人の侍女に目遣す)平にお
聞取りを願わしゅう。 侍女三 若様、お座へ。 公子 (顧みて)椅子をこちらへ。 ....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
ちょうどそこに、美しい女と、その若紳士が居合わせて、こう言を交わしたのを松崎は
聞取った。 さては空音ではないらしい。 若紳士が言ったのは、例の、おいてけ堀....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
た。 「ちょっと御挨拶を申上げます、……同室の御婦人、紳士の方々も、失礼ながらお
聞取を願いとうございます。私は、ここに隣席においでになる、窈窕たる淑女。」 彼....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
の悪いことといっちゃあ、口で謂うようなものではないんですから。」 お夏はこれを
聞取らなかったほど、何か考えていたが、 「幾歳、」 「十八九で、」 「一昨年のこ....
「春昼」より 著者:泉鏡花
、亡骸が岩に打揚げられてござったので、怪我か、それとも覚悟の上か、そこは先ず、お
聞取りの上の御推察でありますが、私は前申す通り、この歌のためじゃようにな、」 「....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
がた、がたがた言って、」 小松原が、 「あ、」 「あれか、」 と医師もそこで
聞取った。 「酒田……先刻のも、」 「むむ、診察処だ。」 「あれえ。」 「開けて....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
は皆一寸ばかりずつ水がついてる。豪雨は牛舎の屋根に鳴音烈しく、ちょっとした会話が
聞取れない。いよいよ平和の希望は絶えそうになった。 人が、自殺した人の苦痛を想....
「浜菊」より 著者:伊藤左千夫
予も跡について起つ。敢て岡村を軽蔑《けいべつ》して云った訳でもないが、岡村にそう
聞取られるかと気づいて大いに気の毒になった。それで予は俄《にわか》におとなしくな....
「火星兵団」より 著者:海野十三
、先生の耳もと近くにあった。
「新田、だまって、わしについて来い!」
博士は、
聞取れないほどの小さい声で先生の耳にささやいた。
「えっ!」
新田先生は、自分....
「河明り」より 著者:岡本かの子
濠川の人為的生活が、雪という天然の威力に押えつけられ、逼塞した隙間から、ふだんは
聞取れない人間の哀切な囁きがかすかに漏れるのを感ずるからであった。そして、これは....
「食魔」より 著者:岡本かの子
倒や嘲笑の鋒尖を彼女は全身に刺し込まれても、ただ情無く我慢するだけ、苦鳴の声さえ
聞取られるのに憶している。肌目がこまかいだけが取得の、無味で冷たく弱々しい哀愁、....
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
に感謝の言葉を述べるのであった。そして、これから私たちの行先が桑名見物というのを
聞取って 「あすこなら、私よく存じている者もおりますから、御便宜になるよう直ぐ電....
「お住の霊」より 著者:岡本綺堂
これは小生の父が、眼前に見届けたとは申し兼るが、直接にその本人から
聞取った一種の怪談で今はむかし文久の頃の事。その思召で御覧を願う。その頃、麹町霞....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
こねまわしながら、ぼそんとした声で言い、そして、「こら内緒やが――」最近当局の新
聞取締がきびしくなり、むやみに広告の段数をふやすことが出来なくなったので、検閲係....
「武蔵野」より 著者:国木田独歩
の秋のおどおどした、うそさぶそうなお饒舌《しゃべ》りでもなかったが、ただようやく
聞取れるか
聞取れぬほどのしめやかな私語《ささやき》の声であった。そよ吹く風は忍ぶ....