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肉体的
「肉体的〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
肉体的の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
挙げ、僅《わず》かに苦しみを紛《まぎ》らせていた。しかし彼を悩ませたものは必しも
肉体的苦痛ばかりではなかった。彼はお芳の泊っている間は多少の慰めを受けた代りにお....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
を御話しなければ、ちと御会得《ごえとく》が参らないかも存じませんが、妻は不幸にも
肉体的に欠陥のある女でございました。(以下八十二行省略)………そこで私はその時ま....
「冬」より 著者:芥川竜之介
などの残っていたものの、どこの町全体も冬枯れていた。僕は坂を登りながら、僕自身も
肉体的にしみじみ疲れていることを感じた。僕の叔父《おじ》は去年の十一月に喉頭癌《....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
る声には、ただ唸り声と云う以上に、もう少し複雑な意味がある。と云うのは、彼は独り
肉体的の苦痛のためにのみ、呻吟《しんぎん》していたのではない。精神的な苦痛のため....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
アの上へ頬杖《ほおづえ》をついて、燃えさかるストオヴの前へ立ったまま、精神的にも
肉体的にも、火炙《ひあぶ》りにされている先生へ、何度も生意気《なまいき》な笑い声....
「路上」より 著者:芥川竜之介
好い女だ。」
「いかん、いかん。僕の云っているのは、お藤《ふじ》の――お藤さんの
肉体的の美しさの事だ。素直そうななんぞと云う、精神的の美しさじゃない。そんな物は....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
らだ》たしさを感じた。就中《なかんずく》海軍の将校たちの大声に何か話しているのは
肉体的に不快だった。彼は二本目の「朝日」に火をつけ、プラットフォオムの先へ歩いて....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
取るのは何の尺度に依《よ》ったのであろう? より大きい快を選んだのである。しかし
肉体的快不快と精神的快不快とは同一の尺度に依らぬ筈《はず》である。いや、この二つ....
「点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
れるとすれば、僕の両親や姉のことも忘れていたいと思っている。が、特にその日だけは
肉体的に弱っていたせいか、春先の午後の日の光の中に黒ずんだ石塔を眺めながら、一体....
「或る女」より 著者:有島武郎
生きる男の力がほとばしった。葉子は黙ったまま軽くうなずいた、胸の下の所に不思議な
肉体的な衝動をかすかに感じながら。
「お一人《ひとり》ですな」
塩がれた強い声....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
歴史は畢竟、善と悪との抗争の物語である。一方は光、他方は闇、この戦は精神的、並に
肉体的の、あらゆる方面に向って行われる。無論両者の争闘は、時代によりて消長を免れ....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
妄想狂の瑞典人だった。しかも彼の名はストリントベルグだった。僕は彼とすれ違う時、
肉体的に何かこたえるのを感じた。 この往来は僅かに二三町だった。が、その二三町....
「墓」より 著者:秋田滋
わたくしはその女を愛しておりました。一口に愛していたと申しましても、わたくしは、
肉体的な愛慾とか、あるいはまた尋常一と通りの精神的な愛情、そのような通り一遍の気....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
な気持になることもあった。だが私は、整頓するということを考えただけで、精神的にも
肉体的にも疲労を感じてしまうので、私にはこの厭わしい仕事に手をつける勇気がなかっ....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
がらだった。競走や闘鶏にはいつでも第一位を占めた。権勢というものは田舎ではつねに
肉体的な力があるものが獲得するものだが、彼もその権勢をもって、なにか争いがあれば....