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肉塊
「肉塊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
肉塊の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
しながら、別人のように、やさしい微笑を含んで、この命が宿ったばかりの、赤い、醜い
肉塊を見守った。赤ん坊は、しばらくも、じっとしていない。手を動かす。足を動かす。....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
いや、それだけではあるまい。二人の妙に慣れ慣れしいあの態度はどうだ。マスミは遂に
肉塊を資本にのさばり歩く醜業婦でしかなかったのか。 僕は不図われにかえって、あ....
「階段」より 著者:海野十三
くら脛のすこし上のところに、まだ一度も陽の光に当ったことがないようなむっつり白い
肉塊があって、象牙に彫りきざんだような可愛い筋が二三本|匍っていた。だがその上を....
「電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
った。果して、あの致命傷であったのだ。 転げつ、倒れつ、悶々のたうち返る美人の
肉塊の織り作す美、それは白いタイルにさあっと拡がってゆく血潮の色を添えて充分カメ....
「恐しき通夜」より 著者:海野十三
して、ドンドンその濁った血潮をかいだしても、かい出し尽せるものではなかった。彼の
肉塊をいちいち引裂いて火の中に投じても、焼き尽せるものではなかった。彼は自己嫌悪....
「殺人の涯」より 著者:海野十三
独りで渦を巻いている。しかしその液体には今や明ら様に大きい赤い塊――それは女房の
肉塊だった――がポッカリと浮かんでいた。執念ぶかい
肉塊だった。恐ろしさの余り、急....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
て擦り脱ける砲弾、悪魔が大口を開いたような砲弾の炸裂、甲板に飛び散る真紅な鮮血と
肉塊、白煙を長く残して海中に墜落してゆく飛行機、波浪に呑まれて沈没してゆく艦艇か....
「爬虫館事件」より 著者:海野十三
の蟒どものことですがね。皆で九頭ほどいますが、あれに人間の身体を九個のバラバラの
肉塊にし、蟒どもに振舞ってやったら、嘸よろこんで呑むことでしょうな」帆村は北外の....
「赤外線男」より 著者:海野十三
丘ダリアは益々健康に輝き頸から胸へかけての曲線といい、腰から下の飛び出したような
肉塊といい、まるで張りきった太い腸詰を連想させる程だった。従って第二装置の素晴ら....
「蠅男」より 著者:海野十三
ねまわった。これを放してはたいへんである。帆村は両腕も千切れよとばかり、不気味な
肉塊を抱きしめた。 蠅男は蛇のように首を曲げて、帆村の喉首に噛みつこうとする。....
「地球盗難」より 著者:海野十三
た途端、ビリビリと微かな音をたてて破れてしまった。その下からは赤味のさした露わな
肉塊が現れた。それは不気味にピクピクと蠢めいていたが、だんだん膨れ上ってきて、み....
「什器破壊業事件」より 著者:海野十三
ドにもぐりこんでしまった。光枝が見ると、旦那様は、壁の方に向き伏して、その大きな
肉塊が、早いピッチでうごめいているのを認めた。 「あんた、なんか業病があるんじゃ....
「脳の中の麗人」より 著者:海野十三
、ほとんど見えない。これは手術に電気メスを使うようになって、厚い皮膚でも、逞しい
肉塊でも、それからまた硬い骨でも、まるでナイフで紙を裂くように簡単に切開できるせ....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
画を見ると、迂濶に常談も言われないのを感じた。轢死した彼は汽車の為に顔もすっかり
肉塊になり、僅かに唯|口髭だけ残っていたとか云うことだった。この話は勿論話自身も....
「瘤」より 著者:犬田卯
でもない頭髪を綺麗に撫でつけ、無髯のあから顔、そして左頬の下へぶら下った偉大なる
肉塊――それが歩くたびにゆっさゆっさと顔面と共に揺れる。 黙々としてやって来た....