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肉情
「肉情〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
肉情の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
いのはますます目立って来た固い下顎《したあご》の輪郭だった。しかしとにもかくにも
肉情の興奮の結果が顔に妖凄《ようせい》な精神美を付け加えているのは不思議だった。....
「富士」より 著者:岡本かの子
翁の胸に滴《したた》って翁を苦しめた。 取り付きようもない娘の心にせめて親子の
肉情を繋ぎ置き度い非情手段から、翁は呪《のろ》いという逆手《ぎゃくて》で娘の感情....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
てしまうのでした。で、それからというものは、私自身でさえ、身内に生えはじめてきた
肉情の芽が、はっきりと感じられてきて、いつかの貴方と同様に、時江さんの身体まで、....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
ら、復一はまた急に焦り出し、彼女の超越を突き崩して、彼女を現実に誘い出し、彼女の
肉情と自分の
肉情と、血で結び付きたい願いが、むらむらと燃え上る。それは幾度となく....
「食魔」より 著者:岡本かの子
たのは主にフランス近代の巨匠のものだったが、本能を許し、官能を許し、享受を許し、
肉情さえ許したもののあることは東洋の躾と道徳の間から僅にそれ等を垣間見させられて....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
混ざり合った憎悪と愛着の念が、彼を一種の不健康な慾情に駆り立てたからで、お互いに
肉情的な泥仕合いに爛れているのであった。 その夜も庸三は少し不機嫌になっていた....
「アンネット」より 著者:宮本百合子
の女性を発見したのであった。 この恋愛も破滅した。原因は、男の強大な主我主義と
肉情によって、アンネットは自分が彼の愛人として人格的に陥りかかっている屈辱の深淵....
「『静かなる愛』と『諸国の天女』」より 著者:宮本百合子
であったのだが、天女を妻として十日ほどは彼も大満悦であった。天女は美しくて、彼の
肉情も十分に満足させた。けれども、天女だから何にもしない。夕方になって伯龍が腹を....
「青鬼の褌を洗う女」より 著者:坂口安吾
のは当然だと思っており、その世界を全面的に認めているから、たとえば三木昇が好色で
肉情以外に何もなくとも、そのことで軽蔑はしなかった。できないのだ。文化というのだ....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
なかった。 私は宮本と少年との間には私たちのような接吻以上のもっと、最後までの
肉情がある気がした。そして宮本から色々の贈り物を受ける事への意識も。つまり彼の母....
「大岡越前」より 著者:吉川英治
よんで、人が姓をよんだことのあるを聞かない。何しても、お袖は、その刑部様の強靭な
肉情から飽かれない限り、ここを出ることはできないであろう。――この運命に、女とし....