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「肉筆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

肉筆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
らず》御赦《おゆる》し下され度《たく》候《そうろう》。」 これはその葉書の隅に肉筆で書いてある文句だった。僕はこう云う文句を読み、何冊かの本が焔《ほのお》にな....
城のある町にて」より 著者:梶井基次郎
方を向いて手を拡げている図などの記憶が、次つぎ憶い出されて来た。 国定教科書の肉筆めいた楷書の活字。またなんという画家の手に成ったものか、角のないその字体と感....
雛妓」より 著者:岡本かの子
後妻がわたくしに語ったところに依ると、 「おとうさんはお年を召してから、あんたの肉筆の短冊を何処かで買い求めて来なさって、ときどき取出しては人に自慢に見せたり自....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
一纏めにして古賀得四郎氏の手許に預けられている。古賀氏の尽力で、表装されて只圓翁肉筆の歌集として世に残る筈である。翁の歌風を知るには誠に便宜と思うからその和歌を....
小泉八雲秘稿画本「妖魔詩話」」より 著者:寺田寅彦
いろいろなまじめな興味ある問題を示唆されるのであるが、その示唆の呪法の霊験がこの肉筆の草稿からわれわれの受けるなまなましい実感によっていっそう著しく強められるで....
松と藤芸妓の替紋」より 著者:三遊亭円朝
交を褒めようと思って見ると、團十郎の摺物や会の散しが張付けて有る中に、たった一枚肉筆の短冊が有りましたから、その歌を見ると「背くとも何か怨みん親として教えざりけ....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
に提灯を舐めた。その幽霊の顔とともに、夫人の黒髪、びん掻に、当代の名匠が本質へ、肉筆で葉を黒漆一面に、緋の一輪椿の櫛をさしたのが、したたるばかり色に立って、かえ....
歯車」より 著者:芥川竜之介
「我々は丁度日本画のように黒と白の外に色彩のない女の肖像画でも満足である」と云う肉筆のP・Sを加えていた。僕はこう云う一行に Black and White と....
血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
黙っているのである。 狩野永徳の唐獅子の屏風、海北友松の牡丹絵の襖、定家俊成の肉筆色紙を張り交ぜにした黒檀縁の衝立、天井は銀箔で塗られて居り、柱は珊瑚で飾られ....
書について」より 著者:高村光太郎
世絵に於ける木版師のような位置を持っていたものであろう。それゆえ、古拓をただ徒に肉筆で模し、殊に其の欠磨のあとの感じまで、ぶるぶる書きに書くようになっては却て俗....
美の日本的源泉」より 著者:高村光太郎
とバレンとの工作によって自然に出る色彩の綜合的妙味であって、版画の隆盛期に於ける肉筆絵画が必ずしも同様の妙趣を持っていたのではない。試みに広重北斎あたりの肉筆の....
浮世絵画家の肉筆」より 著者:上村松園
浮世絵画家の肉筆というものは、錦絵とはちがった別の味わいがあるものですが、こんど蒐集陳列され....
少年の食物」より 著者:木村荘八
学へ通っていましたが、兄の中学の友人に伊藤? 何とか云う人がいた。度々その人から肉筆の水彩絵ハガキが来て、殊に兄キ達は、仲間で『風見』と云う廻覧雑誌をやっていま....
江戸芸術論」より 著者:永井荷風
信《まさのぶ》、懐月堂《かいげつどう》等《とう》の諸家は板画《はんが》と共に多く肉筆画の制作をなせしが、鳥居清信《とりいきよのぶ》専《もっぱ》ら役者絵の板下《は....
新古細句銀座通」より 著者:岸田劉生
った。丁度そのちょっと前頃から絵ハガキが流行しはじめたが、そこでは洋画家のかいた肉筆の絵ハガキも売っていて、ほしくてならなかった。何しろ、勧工場といえば長い道が....