肉薄[語句情報] » 肉薄

「肉薄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

肉薄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
を失わせようとする。犬は、そのすきに乗じて、熱い息を吐きながら、いよいよ休みなく肉薄した。もうこうなっては、ただ、窮余の一策しか残っていない。そこで、彼は、事に....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
へ追いこんで行った。いや、彼は数合の内に、ほとんど一気に相手の頭を斬り割る所まで肉薄していた。するとその途端に甕《かめ》が一つ、どこからか彼の頭を目がけて、勢い....
少年」より 著者:芥川竜之介
砲弾は雨のように彼等のまわりへ爆発した。しかし味《み》かたは勇敢にじりじり敵陣へ肉薄《にくはく》した。もっとも敵の地雷火《じらいか》は凄《すさ》まじい火柱《ひば....
藁草履」より 著者:島崎藤村
、白は紫を後に残して、真先に進む源をも抜かんとする気勢《けはい》を示して、背後に肉薄して来た。「青」、「白」の声は盛に四方から起る。源も、白も、馬に鞭《むちう》....
不尽の高根」より 著者:小島烏水
斜面を見せる。それがまた驚くべく長大なる、最新の熔岩流をひろげて、下吉田の町まで肉薄する剣丸尾、青木ヶ原の樹海から精進村まで、末広がりに扉開きになる青木ヶ原丸尾....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
ゆる経験を吟味して「それは経験ではない、概念である」と主張するのである。これほど肉薄的な根本的な、そして堂々とした白日戦を思わせるような攻撃の仕方はあるまい。 ....
不沈軍艦の見本」より 著者:海野十三
、空中魚雷を命中させ……」 「穴は明きません」 「続いて、果敢なる日本潜水艦隊が肉薄して、数十本の魚雷を本艦の横腹目がけて猛然と発射するときは……」 「大丈夫だ....
火薬船」より 著者:海野十三
竹見から煙草とマッチをうばいとったことなどは知らんかおで、多勢を頼んで水夫竹見に肉薄してくるそのずうずうしさには、あきれるよりほかない。 竹見は、べつにおどろ....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
先頭の印度人は、監守をなぐり殺したらしい血染の鉄棒をふりかぶって、フランク大尉に肉薄する。 「仇敵、英国人め。圧政にくるしむわが印度同胞のうらみを知れ!」 「な....
怪しの館」より 著者:国枝史郎
どである。眉毛はむしろ上がり気持ちで、描いたそれのように鮮やかであった。鼻は高く肉薄く、神経質的の点があり、それがかえって彼女の顔を、気高いものに見せていた。唇....
犬神娘」より 著者:国枝史郎
高く、抜けるほど色が白い、眼は切れ長で睫毛が濃く、気になるほど険があり、鼻も高く肉薄で鋭く、これも棘々しく思われましたが、口もとなどはふっくりとして優しく、笑う....
南極の怪事」より 著者:押川春浪
船首より船尾に逃げ行きしが、もはや逃ぐるところどこにもあらず、後よりは兇刃すでに肉薄するに、今はたまらず、身を跳らして、逆巻く波間に飛び込まんとする一刹那、一海....
水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
噛み付いて、敵艇を突くまでに力漕した。 敵は依然として泰然自若、舟はジリジリと肉薄した。二名の警官は艫をかなぐり捨ててまさに敵艇に突撃せんとした刹那、『アッ』....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
者もあった。塚田巡査は靴を脱いで屋根に登った。二三人の消防夫も続いて登った。斯う肉薄して来られては堪らぬ。重太郎も流石に根負がして、遂に屋根から飛び降りた。但し....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
たいつかの催の夜、鏡に向うように火の境を覗いて見て、 その火と云うものが恐ろしく肉薄して来たとき、 己の胸には独立特行の決心が附いた。 あれは幻影だが、しかし偉....