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「肌寒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

肌寒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
六人が六人とも、五十歳以上の老人ばかり揃っていたせいか、まだ春の浅い座敷の中は、肌寒いばかりにもの静《しずか》である。時たま、しわぶきの声をさせるものがあっても....
鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
暗い空から走って来た。それが秋の夜らしい気分を誘って、酒を飲まないお染はなんだか肌寒いようにも思われた。 お花は酔って唄った。 ※立つる錦木《にしきぎ》甲斐....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
はもう散りはじめた堤の柳が夜風に乱れなびいているのも、素袷《すあわせ》のふたりを肌寒くさせた。五ツ(午後八時)を過ぎ、四ツ(午後十時)を過ぎても、今夜はそこに何....
三人の双生児」より 著者:海野十三
待ったる貞雄が、約束した五ヶ月目にはとうとう姿を見せず、遂に七ヶ月目となってまだ肌寒く雪さえ戸外にチラチラしている三月になってやっと妾の家の玄関に姿を現した。 ....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
しくきこえて、馴れている平助もおのずと佗しい思いを誘い出されるような夜であった。肌寒いので炉の火を強く焚いて、平助は宵から例の一合の酒をちびりちびりと飲みはじめ....
薬草取」より 著者:泉鏡花
て行って、欲い草を取って帰っては悪いのか。」 と高坂はやや気色ばんだが、悚然と肌寒くなって、思わず口の裡で、 慧雲含潤 電光晃耀 雷声遠震 令衆悦予 日....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
込みました嘉吉の奴。浪の音は耳|馴れても、磯近へ舳が廻って、松の風に揺り起され、肌寒うなって目を覚ましますと、そのお前様……体裁。 山へ上ったというではなし、....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
にかないたり。 見物は未だ来り集わず。木戸番の燈大通より吹きつくる風に揺れて、肌寒う覚ゆる折しも、三台ばかり俥をならべて、東より颯と乗着けしが、一斉に轅をおろ....
探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
じられた東北の暗い町は春が来てもやはり薄暗く沈んでいた。四月といっても朝夕はまだ肌寒いのに、けさは細かい雨が一日しとしとと降り暮らして、影のうすい電灯がぼんやり....
杜子春」より 著者:芥川竜之介
坐ったまま、静に星を眺めていました。するとかれこれ半時ばかり経って、深山の夜気が肌寒く薄い着物に透り出した頃、突然空中に声があって、 「そこにいるのは何者だ」と....
鰻に呪われた男」より 著者:岡本綺堂
処からか帰って来るかも知れないと、わたくしは女中の敷いてくれた寝床の上に坐って、肌寒い一夜を眠らずに明かしました。 散歩に出た途中で、偶然に知人に行き逢って、....
明暗」より 著者:岡本かの子
げますわ」 智子は心に絶望に近いものを感じながら、こんなお座なりを云ったことが肌寒いように感じられて夫の方を今更ながら振り返った。悲しみをじっと堪えるように体....
夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
分乗りものが有ろう筈もない。 然るに湧き返る青年達の血潮は玄海灘から吹きつける肌寒い夜風位いには驚きません。歌論は歌論へ、秋月は歌心へ、帰り行く友を送ってそこ....
白い蝶」より 著者:岡田三郎助
友の家を出たのは、最早夕暮であった、秋の初旬のことで、まだ浴衣を着ていたが、海の方から吹いて来る風は、さすがに肌寒い、少し雨催の日で、空には一面に灰色の雲が覆い拡って、星の光も見えない何とな....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
きっとないと請合える位いの穢なさだが、火も炭も惜気もなく沢山持って来られるのは、肌寒き秋の旅には嬉しいものの一つである。宿から出してくれた凍りがけの茶受には手は....