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肌理
「肌理〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
肌理の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「もの思う葦」より 著者:太宰治
つつましく控えている碧い神経質な鋭い目も、官能的な桜桃色の唇も相当なものである。
肌理の細かい女のような皮膚の下から綺麗な血の色が、薔薇色に透いて見える。黒褐色の....
「うつり香」より 著者:近松秋江
しばらくじいっと瞻っていたが柳沢がどうもせぬ前とどこにも変ったところは見えない。
肌理の細かい真白い顔に薄く化粧をして、頸窪のところのまるで見えるように頭髪を掻き....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
ので、日が未だ高いのであると思っている、そうして前の山も後の山も、森林のために、
肌理が荒く、緑※にくすんだところへ、日が映って、七宝色に輝き出すと、うす暗い岩屏....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
山は一面に松林で蔽われている。赤松と黒松との程よい交錯。そこでなければ味われない
肌理の細かい風の音と、健康を喚び覚させるような辛辣な空気の匂とは、私の好きなもの....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
装を脱いで、裸にして縷無き雪の膚を顕すのを見ると、いずれも、……血色うつくしき、
肌理細かなる婦人である。 「銭ではないよ、みんな裸になれば一反ずつ遣る。」 価....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
ませられるかも知れないがその実質はとても覚束ない。それほど今度の思い立ちは情緒の
肌理のこまかいものだ。いまはむしろ小説なら表題を告げて置くだけの方がこの女の親し....
「別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
女だな。」と思った。 よく似合った極くハイカラな束髪に結って小肥な、色の白い、
肌理の細かい、それでいて血気のある女で、――これは段々|後になって分ったことだが....
「ダス・ゲマイネ」より 著者:太宰治
六郎だ。れいの画かきさ」 佐竹と私とは苦笑しながら軽く目礼を交した。佐竹の顔は
肌理も毛穴も全然ないてかてかに磨きあげられた乳白色の能面の感じであった。瞳の焦点....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
姿勢は立ち勝って来た。 肌が真珠色に艶めいて来た。それは冷たそうな艶であった。
肌理が絹のように細かくなった。 きっと滑らかなことだろう。 だが触れることは....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
い半弓形の眼の、若い女の顔であった。円味の勝った頤につづいて、剥き胡桃のような、
肌理の細かな咽喉が、鹿の子の半襟から抜け出している様子は、艶かしくもあれば清らか....
「地上」より 著者:島田清次郎
ている。背はやや低く小造りな身体だが、引き緊った円やかな肉付と、白く透きとおった
肌理の精密な皮膚とをお幸はもっていた。お幸は東京の生まれであった。彼女の母は東京....
「おせん」より 著者:邦枝完二
も子供も銭持っておいで。当時名代の土平の飴じゃ。味がよくってでがあって、おまけに
肌理が細こうて、笠森おせんの羽二|重肌を、紅で染めたような綺麗な飴じゃ。買って往....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
て、筆で染めると、解けた胡粉は、ほんのりと、笠よりも掌に響き、雪を円く、暖かく、
肌理滑らかに装上る。色の白さが夜の陽炎。 「ああ、ああ、刺青ッて、こんなでしょう....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
て両手で圧える女の、齢は二十五六、眼鼻立ちも醜からねど美味きもの食わぬに膩気少く
肌理荒れたる態あわれにて、襤褸衣服にそそけ髪ますます悲しき風情なるが、つくづく独....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
未だ士気の失せない※々した岩が、押し重って危く谷を覗いている、水に洗われ磨かれて
肌理がこまかくなった旧い仲間を羨むように。雪に近づいたなと瞬間に意識する。山は創....