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肌目
「肌目〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
肌目の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
中へくっきりと聳えだした。邸の周囲には一本の樹木もなく、ただ美しい緑色の雑草が、
肌目のよい天鵞絨のようにむっちりと敷き詰って、それが又|玩具のような白い家々に快....
「食魔」より 著者:岡本かの子
の姿が俤に浮ぶ。いつも軽蔑した顔をして冷淡につけつけものをいい、それでいて自分に
肌目のこまかい、しなやかで寂しくも調子の高い、文字では書けない若い詩を夢見させて....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
倫敦の空は石綿だった。そしていまこの日本の空は―― 加奈子は手を差し延べて空の
肌目を一つかみ掴み取ってみる。絹ではない。水ではない。紙ではない。夢? 何か恐ろ....
「百喩経」より 著者:岡本かの子
分しか出なかった。 夫の愛は日に日に新鮮だった。血の気を増す苜蓿の匂いがした。
肌目のつんだネルのつやをして居た。甘さは物足りないところで控えた。 それで保志....
「くろん坊」より 著者:岡本綺堂
事を手伝っていた。 ここらは山国で水の清らかなせいであろう、すべての人が色白で
肌目が美しい。そのなかでもお杉は目立つような雪の肌を持っているのが、年頃になるに....
「オランウータン」より 著者:豊島与志雄
爪先上りになる。両側は一面に低い小笹と雑草、大木の幹がすっくと伸びあがり、仄白い
肌目を見せてる枯木も交り、空を蔽った枝葉の下はしいんとした静けさだ。電灯の照明が....
「子を奪う」より 著者:豊島与志雄
う風に彼女を眺めたことがなかった。……彼は眼を外らして、敏子の横顔をまた眺めた。
肌目の荒い肉が白粉に包まれていた。ふふんと鼻で笑いたいような気が、彼のうちに起っ....
「操守」より 著者:豊島与志雄
身……。――「背が高いから、なんだけれど、あたし、そんなに痩せてないでしょう。」
肌目のこまやかな、なだらかな肉附で……。それが、愛慾の気などみじんもなく、清浄と....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の壇場であるべきはずだから、きっと、どこにか姿を見せて、湯気の後ろから山国の女の
肌目の荒い細かいを覘《うかが》っていそうなものだが、さていずれを見渡しても当時、....
「二十歳のエチュード」より 著者:原口統三
河は、絵本の中に住んでいた。そして、外国も、やはり海の向こうにあった。 大連の
肌目は粗いが、それを洗煉されたお化粧でごまかそうとする。 大連の顔は歪《ゆが》....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ところ、文学の仕事をするものは、彼等の神経質さと、社会的未訓練から亢奮して、心の
肌目の荒びた、強引な、力《ちから》声と称する蛮声をあげ(詩人はまだその時期にいる....
「源氏物語」より 著者:紫式部
と言ったが、不安な気がして下を向いている玉鬘の様子が美しかった。手がよく肥えて
肌目の細かくて白いのをながめているうちに、見がたい物を見た満足よりも物思いが急に....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
ず処分されました死人の血とか、脂肪とか、垢とかいうものが少しずつ少しずつ大理石の
肌目に浸み込んで、斯様な陰気な色に変化してしまったもので御座います。
その解剖....
「笑う唖女」より 著者:夢野久作
きつ》けている恰好を見ると、どうやら若い女らしい。全体に赤黒く日に焼けてはいるが
肌目《きめ》の細かい、丸々とした肉付の両頬から首筋へかけて、お白粉《しろい》のつ....
「三国志」より 著者:吉川英治
智的といえば、額もひろい。眼は鳳眼であり、耳朶は豊かで、総じて、体の巨きいわりに
肌目こまやかで、音声もおっとりしていた。 「いや、夜中とは思ったが、一刻もはやく....