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「肌触〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

肌触の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
とは出来なかったのである。 ラザルスは故郷の荒野に帰ると、荒野はこころよい風の肌触わりと、輝く太陽の熱とをもって彼を迎えた。彼は昔のままに石の上に坐ると、その....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
ある。冷く素気なく寂しさ身に沁みる幕である。死よりも意識があるだけに、なお寂しい肌触りの幕である。女は、いやしくも女に生れ合せたものは、愛をいのちとするものは、....
小公女」より 著者:菊池寛
。」 まったく夢にちがいありません。温かな夜具もかかっているようですし、毛布の肌触りも感ぜられます。手を出すと、繻子の羽根蒲団らしいものが触るのです。セエラは....
おせん」より 著者:邦枝完二
から預った結文を、ちょいと懐中から窺かせた。 紅 一 ゆく末は誰が肌触れん紅の花 ばせを 「おッとッと、そう一人で急いじゃいけねえ。まず御手洗で....
」より 著者:佐左木俊郎
、蛇とって来た。それ蛇!」と彼女は、彼の首へ、蛇のような形と色と、ひやりっとした肌触りの、汚れた縄切れを捲きつけた。 「なんだと?」と福冶爺は、狼狽てて首に手を....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
本質的な線の力強さを味い得るように、私たちは瓜の実の持ついろいろな線や、恰好や、肌触りに、見かけは間伸びがしたようで、どこかにちゃんと締め括りがあり、大まかなよ....
うつり香」より 著者:近松秋江
くれた雨戸からそうっとはいりこんだ。夏の夜更けの、外は露気を含んで冷や冷やと好い肌触りだけれど部屋の中は締め込んでいるのでむうっと寝臭い蚊帳の臭いに混ってお前臭....
狂乱」より 著者:近松秋江
てきて、まして瀟洒とした廓町の宵などを歩いていると、暑くも寒くもない快適な夜気の肌触りは、そぞろに人の心を唆って、ちょうど近松の中の、恋と小袖は一模様、身に引き....
霜凍る宵」より 著者:近松秋江
近づいて来たようで、ことに東京と異って、京は冬でも風がなくって静かなせいか夜気の肌触りは身を切るように冷たくっても、ほの白く露霜を置いた、しっとりとした夜であっ....
「享楽座」のぷろろぐ」より 著者:辻潤
怠との餌食―― 酷薄な「生命」に虐なまれる傀儡は 僅かに刹那の火花から トマトの肌触りを感じるのだ ヒステリイの山犬よ 石油の空缶を早く乱打しろ! そして幕をあげろ!! ハッシュ!! ハッショ※....
」より 著者:徳田秋声
いうのに強い雨が一度降ってからは、急に陽気が涼しくなって、夜分などは白いベッドの肌触りが冷たいほどであった。お銀は家からセルなどを取り寄せたが、もうそんなころか....
縮図」より 著者:徳田秋声
師の浦上が入って来た。八月も終りに近く、驟雨が時々襲って来て、朝晩はそよそよと、肌触りも冷やかに海風か吹き通り、銀子は何となし東京の空を思い出していた。 浦上....
明暗」より 著者:夏目漱石
お時の足音が、先刻《さっき》から台所で聞こえるのを好い事にして、彼女はいつまでも肌触りの暖かい夜具の中に包まれていた。 そのうち眼を開けた瞬間に感じた、すまな....
自殺を買う話」より 著者:橋本五郎
体臭と共に、今日は彼にも快かった。 同時に彼は、昨日以来の突然な幸福を、絹物の肌触りの中で、まるでひと事のように考えていた。恩人の使いが何を意味しているのか、....
貧しき人々の群」より 著者:宮本百合子
んでいる薔薇色の靄《もや》や、裸の足の上に朝露をはね上げて、生々としている雑草の肌触り、作物や樹木の朝明けの薫りなどに、どのくらい慰められたことであろう! 非....