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「肥やし〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

肥やしの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
ろまん灯籠」より 著者:太宰治
「この坊ちゃんは、肥えているわい。この肌の白さは、どうじゃ。胡桃《くるみ》の実で肥やしたんじゃな!」と喉《のど》を鳴らして言いました。婆さんは長い剛《こわ》い髭....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ていながら、一方には自分も良住と一緒に押込みを働く。何やかやでかなりにふところを肥やした筈ですが、悪運尽きて忽ち滅亡、殺した者は大部屋の仲間でもなく、ごろつき仲....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
に関係していることが判りました。それがみんな色と慾で、女を蕩して自分のふところを肥やしているという、まったく凄い女でした。こんな奴とはちっとも知らずに、酒屋の亭....
縮図」より 著者:徳田秋声
先の女中で、小金を溜めているものもあり、このなかで金を廻して、安くない利子で腹を肥やしているものもあったが、ともすると弱いものいじめもしかねないことも知っている....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
定紋九曜を刳りぬいた白木の龕で、あなたが死ぬ時一処に牧場に埋めて牛馬の食う草木を肥やしてくれと遺言した老夫人の白骨は、此中に在るのだ。翁も夫人には一目置いて、婆....
思想と風俗」より 著者:戸坂潤
ので、カメラの力によって開拓された自然の嘆美は確かに人類のリアリスティックな眼を肥やしたと云わねばなるまい。故寺田寅彦氏だったかと思うが、自然物は拡大して見れば....
土鼠と落盤」より 著者:黒島伝治
ゞ丸の内に聳えているMのビルディング――彼はそのビルディングを見てきていた――を肥やしてやるばっかしだ。この山の中の真ッ暗の土の底で彼等が働いている。彼等が上鉱....
断水の日」より 著者:寺田寅彦
は、一般の世間が平素から科学知識の水準をずっと高めてにせ物と本物とを鑑別する目を肥やしそして本物を尊重しにせ物を排斥するような風習を養うのがいちばん近道で有効で....
婦人の天職」より 著者:堺利彦
時代の武士は、米を作るは百姓の天職なりと言いたりき。いかにも田を耕し、苗を植え、肥やしをくみ、稲をこくがごとき労苦のことは、これを百姓の天職なりとして彼らの手に....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
じゃないか。実際僕が苦しんだのは、何も自分自身の体や、自分の悪行や、自分の苦行を肥やしにして、どこの馬の骨かわからないやつの未来の調和《ハーモニイ》を培《つちか....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
をけっして恐れない。洪水《こうずい》の波は、その泥土《でいど》でわれわれの土地を肥やしたあとに、自分からくずれ去るだろう。」 「だが気の毒にも、そうなるまでの間....
勧善懲悪」より 著者:織田作之助
、その跡釜へ新たに保証金を入れた応募者を据えるという巧妙な手段で、いよいよ私腹を肥やしたから、路頭に迷う支店長らの怨嗟の声は、当然高まった。 ある支店長のごと....
画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
ざいます。 八方に耳と目を働かす 画を描くには、いつもよほど耳と目を肥やしておかなくてはならないようでございます。若い時は市村水香先生に漢学を、長尾....
国境」より 著者:黒島伝治
ルーブル紙幣を借区料としてサヴエート同盟へ納めるのだった。そして、ぬくらんと懐を肥やして、威張っていた。 密輸入者の背後には、その商品を提供する哈爾賓のブルジ....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
。己は神々には似ておらぬ。 塵芥の中に蠢く蛆に己は似ているのだ。 その塵芥に身を肥やして、生を偸んでいるうちに、 道行く人の足に踏まれて、殺されて埋められるのだ....