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肥桶
「肥桶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
肥桶の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
こ》れ四五丁程もある土手下で、花や野菜物《せんざいもの》を担《かつ》いで来たり、
肥桶《こいおけ》なぞをおろして百姓衆の休所《やすみどこ》で、
農夫「太左衞門《....
「三四郎」より 著者:夏目漱石
露悪家になりたがる。もっとも悪い事でもなんでもない。臭いものの蓋《ふた》をとれば
肥桶《こえたご》で、見事な形式をはぐとたいていは露悪になるのは知れ切っている。形....
「藁草履」より 著者:島崎藤村
穿で頬冠りした農夫は、幾群か夫婦の側を通る。鍬《くわ》を肩に掛けて行く男もあり、
肥桶《こえたご》を担いで腰を捻《ひね》って行く男もあり、爺《おやじ》の煙草入を腰....
「琴のそら音」より 著者:夏目漱石
|臭《くそ》うげしたよ――……」 「狸の癖にいやに贅沢《ぜいたく》を云うぜ」 「
肥桶《こいたご》を台にしてぶらりと下がる途端拙はわざと腕をぐにゃりと卸《お》ろし....
「浮動する地価」より 著者:黒島伝治
過激に酷使しすぎた肉体は、年がよるに従って云うことをきかなくなった。 親爺は、
肥桶をかついだり、牛を使ったりするのを、如何にも物憂げに、困難げにしだしていた。....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
聞かせた。隠居は、何か思い付いたように、私達の方を振返って、白い短い髭を見せた。
肥桶を担いだ男も畠の向を通った。K君はその男の方をも私に指して見せて、あの桶の底....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
みを使って居る。自分も時々やる。少し労働をやめて居ると、手が直ぐ綺麗になり、稀に
肥桶を担ぐと直ぐ肩が腫れる。元来物事に極不熱心な男だが、其れでも年の功だね、畑仕....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
舎の父は、男というものは野良姿のままで、手足の爪の先には泥をつめて、眼脂も拭かず
肥桶をかついでお茶屋へ遊びに行くのが自慢だ、それが出来ない男は、みんな茶屋女の男....
「惨事のあと」より 著者:素木しづ
だ真白の雪が見えるのであった。それに家の前には、小さな流れが走っていて、飲料水も
肥桶も、また大根も流れの下の方で洗うという、非常に便利な所であった。 台所の板....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
やらせようとする時、気の立った見物が、それだけでは承知しないで、今後の見せしめに
肥桶《こえたご》をかつがせて、舞台を七廻り廻らせろと発議する者もありました。 ....
「少年の死」より 著者:豊島与志雄
朝金次郎の妻のおせいは彼を揺り起すのに眉を顰めた。 「どうしてこう寝坊だろうね、
肥桶《こえたご》のくせに。図々しいったらありゃしない。」と彼女はよくいった。 「....
「老夫婦」より 著者:黒島伝治
ちゃ。」と繰り返した。「肥タゴが有れゃうらが汲んでやるんじゃがな。」 汚穢屋の
肥桶を見ても彼は田舎で畑へ
肥桶をもって行っていたことを思い出しているのだった。青....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
。菅谷は話をきいてオタツの剣幕のひどすぎるのに閉口したから、 「ナガレ目がわざと
肥桶を落したのではなくて、まちがって落したのだ。誰にもマチガイはあることで、ナガ....
「小豆島」より 著者:黒島伝治
している。 僕の親爺は百姓である。もう齢、六十にあまって、なお毎日、耕したり、
肥桶をかついだりである。寒い日には、親爺の鼻さきには水ばなのしずくが止まっている....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
に、ジャガ芋畑になっていた。 この空壕の底面を耕している百姓は、自分の昇降や、
肥桶の運搬にどういう方法を用いているのだろうかと私はいぶかった。 島原の乱から....