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肩を叩く
「肩を叩く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
肩を叩くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
二十九
初子が辰子と話している間に、新田はちょいと俊助《しゅんすけ》の
肩を叩くと、
「おい、君に一つ見せてやる物がある。」と云って、それから女たちの方....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
な笑い声ばかりが高くきこえた。千枝松は夢のように駈けてゆくと、誰か知らないがその
肩を叩く者があった。はっとおびえて眼をあくと、高い棕梠《しゅろ》の葉の下に一人の....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
急に薄気味悪くなって、どうしようかと路ばたに突っ立って思案していると、不意にその
肩を叩く者があった。ぎょっとして透かしてみると、頬かむりをした長次郎が暗い蔭に忍....
「疑問の金塊」より 著者:海野十三
どを頼んだ。警官はいく度も肯いていたが、刑事たちが、 「じゃ、願いますよ」 と
肩を叩くと、佩剣を握って忍び足に元来た道へひっかえしていった。 「さあ、これでい....
「白妖」より 著者:大阪圭吉
振返ったのは、正しいです」 やがて大月氏は、そう云って感心したように、警部補の
肩を叩くのだった。 ――全く、座席の後ろの四角い硝子窓からは、テール・ランプに....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
年頃の娘を貰って置いて、嫁に仕込んでみたら――そして、その娘が親孝行をして父親の
肩を叩く図はおよそこんなものではあるまいかなぞ勝手な想像を働かせていた。 わた....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
度いい工合に肩の骨にコツコツとあたります。勿論、非常に小さいものもありますから、
肩を叩くのが本来の目的ではありますまいが、その地方では大人でも湯治などに出かける....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
る。私は駅の入口に立って白いハンカチを持って立っている事になっている。どんな男が
肩を叩くのかは知らない。双葉劇団支配人と云うのは、どんなかっこうで電車から降りて....
「渡り鳥」より 著者:太宰治
。どだい彼女は、小造りで若く見えるから、たすかる。 「田辺さん。」 うしろから
肩を叩く。げえっ! 緑のベレ帽。似合わない。よせばいいのに。イデオロギストは、趣....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
そんなのを一々詳細に読んで行く間に、 「おい、君は何だ、泥棒か。」 と、僕の
肩を叩く奴がある。さっきからしきりに、みんなに、君は幾カ月、君は幾カ月と刑の宣告....
「海底都市」より 著者:海野十三
彼らの目の前に姿をあらわした。そしてそのたびにまずまっ先にオンドリを見つけて彼の
肩を叩くことにした。 オンドリは、始めの慓悍《ひょうかん》さをだんだんと失って....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
候」と認《したた》めてありました。 山崎がその小屋の前を通り過ぎると、後ろから
肩を叩く者があります。 「山崎先生」 「おお、七兵衛か」 振返って見ると、自分....
「裸木」より 著者:豊島与志雄
じっとしていた。 ――気がつかないのかな。 佐野は立っていった。 「おい」と
肩を叩く気勢で、「どうしたい。」 友人を迎える彼の笑顔に向って武田は夢からさめ....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
たのかしら。私はとつおいつ考えていました。 「おい、小六さんは踊らないのかい」と
肩を叩く人があっても、小六は見向きもしませんかった。 お医者の中に、この土地で....
「競馬」より 著者:犬田卯
まった。一万円ばかり吹っ飛ばしてしまったような気がした。その時、もしもしと言って
肩を叩くものがある。誰かと思って振りかえると、それは知った顔ではなく、どこかの―....