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肺
「肺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
肺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「父」より 著者:芥川竜之介
わざわざ停車場へ来たのだそうである。
能勢五十雄は、中学を卒業すると間もなく、
肺結核《はいけっかく》に罹《かか》って、物故した。その追悼式《ついとうしき》を、....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
来、門の内へはいるが早いか、忽《たちま》ち妙な臭気を感じた。それは老人には珍しい
肺結核の床に就《つ》いている玄鶴の息の匂《におい》だった。が、勿論《もちろん》家....
「母」より 著者:芥川竜之介
たってねえ。」
敏子は沾《うる》んだ眼の中に、無理な微笑を漂わせた。
「ええ、
肺炎《はいえん》になりましたものですから、――ほんとうに夢のようでございました。....
「春の夜」より 著者:芥川竜之介
《うち》へ行った時、何か妙に気の滅入《めい》るのを感じた。それは一つには姉も弟も
肺結核《はいけっかく》に罹《かか》っていたためであろう。けれどもまた一つには四畳....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
語を教えていた、安達《あだち》先生と云う若い教師が、インフルエンザから来た急性|
肺炎《はいえん》で冬期休業の間に物故《ぶっこ》してしまった。それが余り突然だった....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
ライプツィッヒを訪れ、千六百五十八年には、スタンフォドのサムエル・ウォリスと云う
肺病やみの男に、赤サルビアの葉を二枚に、羊蹄《ブラッドワアト》の葉を一枚、麦酒《....
「或る女」より 著者:有島武郎
だ見いだされなかった。塩気を含んだ冷たい空気は、室内にのみ閉じこもっていた葉子の
肺を押し広げて、頬《ほお》には血液がちくちくと軽く針をさすように皮膚に近く突き進....
「星座」より 著者:有島武郎
と言い争いを始めたらしい。母も何か言ったようだったが、それは聞こえなかった。
「
肺病はお母さんうつるもんだよ」
純次の声がまた。それは聞こえよがしといってよか....
「時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
ぎりなき希求憧憬《ききゅうどうけい》の情を走らせながらも、またつねに、彼が一個の
肺病患者であるという事実を忘れなかった。いつからとなく我々の心にまぎれこんでいた....
「悠々荘」より 著者:芥川竜之介
剤を使っていたな。――」 Sさんは僕等をふり返って言った。 「この別荘の主人は
肺病患者だよ。」 僕等は芒の穂を出した中を「悠々荘」の後ろへ廻って見た。そこに....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
ういう問答のため、妙に悄気たことを覚えている。その先輩は中学を出たのち、たちまち
肺を犯されて故人になったとかいうことだった。 二六 いじめっ子 幼稚....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
ばならないということは明らかである。またこの結果としてはいろいろの病気、たとえば
肺癆、癩病のようなものが起る。特に土星と火星がその毒を混入するような位置にいると....
「墓」より 著者:秋田滋
ました。折あしく俄か雨にあいまして、彼女は風邪をひいてしまったのです。 翌日、
肺炎を起しまして、それから一週間後には、彼女はもうこの世の人ではなくなってしまっ....
「初雪」より 著者:秋田滋
居なくなっているであろう。そう思うと、彼女はまたにっこり笑った。そして、蝕まれた
肺のなかに、芳ばしい花園のかおりを胸一ぱい吸い込むのだった。 そうして彼女はそ....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
て、唖然たる癡呆の一書生なり。馬車の動揺に精神を撹乱し、単純なる空気を呼吸したる
肺臓は砂煙りに混じたる汚濁|臭穢の空気を吸い込み、馬車人力車の轟きさながらに地獄....