背ける[語句情報] » 背ける

「背ける〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

背けるの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
。 「はい、」 とばかりで、その目玉に射られるようで堅くなってどこも見ず、面を背けると端なく、重箪笥の前なる姿見。ここで梳る柳の髪は長かろう、その姿見の丈が高....
旅愁」より 著者:横光利一
と矢代に小声で訊ねた。 「別段何んの変りもないね。」 と矢代は久慈から顔を背けるようにして答えた。 「それで良いのかい? 変らなくたって。」 「変ろうたっ....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
えぬが、薄藍の浅葱の襟して、髪の艶かな、色の白い女が居て、いま見合せた顔を、急に背けるや否や、たたきつけるように片袖を口に当てたが、声は高々と、澄切った空を、野....
湯島の境内」より 著者:泉鏡花
お待遠さま。……私、何だか、案じられて気が急いて、貴方、ちょっと顔を見せて頂戴(背ける顔を目にして縋る)ああ(嬉しそうに)久しぶりで逢ったようよ。(さし覗く)ど....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
……そうすると、気が易くなりました。」 「ああ、観音の利益だなあ。」 つと顔を背けると、肩をそいで、お誓は、はらはらと涙を落した。 「その御利益を、小県さん、....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
立った、物腰のしとやかな、婆々は、客の胸のあたりへその白髪頭を差出したので、面を背けるようにして、客は外の方を視めると、店頭の釜に突込んで諸白の燗をする、大きな....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
えておりますような、あの中へ、」 「結構なんでございます、」と、また打悄れて面を背ける。 よくよくの事なるべし。 「参りましょうか。靄が霽れれば、ここと向い合....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
する事もなかろう。 熟と見てもいられますまい。この際、どこへ持って行こうか、と背ける目を掠めて、月の中を雪が散った……姿見に映った胸で、……膚の白い人だっけ。....
女性の諸問題」より 著者:倉田百三
活の戦いをなしつつ、しかもみ仏であり得るありがたい法が開けているのに、それに面を背けるということは本当に惜しむべきことである。 信仰のないモダンガール、モダン....
多神教」より 著者:泉鏡花
決して正しき神のお言葉ではない。(わななきながら八方を礼拝す。禰宜、仕丁、同じく背ける方を礼拝す。) 媛神 邪な神のすることを御覧――いま目のあたりに、悪魔、鬼....
人口論」より 著者:マルサストマス・ロバート
ことが、アメリカではこれを二倍以上ならしめる原因となっているという考えには、面を背けるであろう。彼は、アメリカにおいて労働の労賃が高い原因は何であろうとも――彼....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
わたしなんでもなくなるわ。 艱 奢っている人はわたしに顔を背けるのね。 憂 お前方は這入られもしないが、這入ってもならないわ。 わ....
澪標」より 著者:外村繁
た手術ですむが、まあ、嫁はんでももろたら直るやろ」 看護婦が笑いを殺して、顔を背ける。医者や看護婦の態度を、私は非礼だと思う。しかし私は彼等の前に自分の性器を....