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背戸口
「背戸口〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
背戸口の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
拝むしおらしい姿が永く眼に残ってる。 二人が余念なく話をしながら帰ってくると、
背戸口の四つ目垣の外にお増がぼんやり立って、こっちを見て居る。民子は小声で、 「....
「満韓ところどころ」より 著者:夏目漱石
灯は夕方宿から迎《むかえ》に出した支那人の持って行った提灯《ちょうちん》である。
背戸口に馬を乗り捨てた橋本は、そう骨を折って見に行く所でもないよと云った。大重君....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
るとうわさを言えば影とやらで、どうやらおとよさんの声がする。竈屋の裏口から、 「
背戸口から御免くださいまし」 例の晴ればれした、りんの音のような声がすると、ま....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
渡しの船頭や、川魚をとる漁師の住いだ。 その一つ――。 前の庭には網をほし、
背戸口から裏にかけては畑がつくってあろうという、半農半漁の檐《のき》かたむいた草....
「春昼」より 著者:泉鏡花
さればこそ、その後は玉脇の邸の前を通がかり。…… 浜へ行く町から、横に折れて、
背戸口を流れる小川の方へ引廻した蘆垣の蔭から、松林の幹と幹とのなかへ、襟から肩の....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
影がぱっと障子に染めたかと思うとじきとまた暗くなる。鋭い、断れ断れな百舌鳥の声が
背戸口で喧しい。しみじみと秋の気がする。ああ可憐なる君よ、(可憐という字を許せ)....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
―息の返りましたのは、一軒家で飴を売ります、お媼さんと、お爺さんの炉端でした。裏
背戸口へ、どさりと音がしたきりだった、という事です。 どんな形で、投り出されて....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
いに女のとびこんで来たという裏門のほうへ足早に歩き出していた。
お中庭を抜けて
背戸口。
植えこみのむこうに小者の長屋が見える。
もうすっかり夜になろうとし....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
と、お前様、雨よりは大きい紅色の露がぽったりぽったりする、あの桃の木の下の許さ、
背戸口から御新姐が、紫色の蝙蝠傘さして出てござって、(爺やさん、今ほどはありがと....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
るほど横手に柴折戸《しおりど》がある。そこから暗剣殺は未申《ひつじさる》の方角、
背戸口の暗黒《やみ》に勘次を忍ばせておいて、藤吉は彦を引具し、案内も乞わずにはい....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
から三人も幸町を流して行く呼声にさえ気のつかない様子。もう四つにも間があるまい、
背戸口の一本松の影が、あれ、はい寄るように障子の桟へ届いている――。 「親分。」....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
た時に、五月ですね。土地子だが気がつかなかった。どうしたんだって聞くと、裏の家へ
背戸口から入った炭屋の穿かえたのが、雪が解けて、引掛ったんじゃあない……乗ってる....
「山の人生」より 著者:柳田国男
かぬほどに背が高い。怖ろしいからすぐに引返して、それからほど近い自分の家に戻り、
背戸口に立って再び振り返って見ると、その大男はなおもとの場所に立ち、凄い眼をして....
「こども風土記」より 著者:柳田国男
嫁迎えがあると若い衆はよく酒をねだる。これを樽入れ、笊転がしなどといって、そっと
背戸口から空の容器を持込み、知らぬ間に持って行くのが普通だったが、或いは竿のさき....