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「背文字〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

背文字の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
塗の硝子戸入の、大書棚の前に、卓子に向って二三種新聞は見えたが、それではなしに、背文字の金の燦爛たる、新い洋書の中ほどを開けて読む、天窓の、てらてら光るのは、当....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
知れない神秘的な事件の、根源をなすものが潜んでいないとも限らないのである。法水は背文字を敏速く追うていって、しばらくの間、紙と革のいきれるような匂いの中で陶酔し....
旅愁」より 著者:横光利一
矢代は自分の学生のころを久しぶりに思い出した。そして、緑色の芝生の中で光る金色の背文字と白い頁を見て、あそこは自分も前に通って来た青春の日の駅だったと思った。 ....
夢と人生」より 著者:原民喜
い本の名前が見えて来る。どの書物もどの書物も、さあ僕の方から読んでくれたまえと、背文字でほほえみかけてくるようだ。僕はへとへとになりながら、時間を忘れ、ものに憑....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
のこないその室には、微かな、まるで埃のような光靄が漂っていて、木椅子の肌や書名の背文字が異様に光り、そのうら淋しさのみでも、低い漠然とした恐怖を覚えるのだった。....
次郎物語」より 著者:下村湖人
の本立を見ているうちに、次郎の眼はその中の一冊にひきつけられた。仮綴の袖珍本で、背文字に「葉隠抄」とあった。次郎はいきなりその本を引き出して、頁をめくった。 ....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
続けてくださるものと時には正直おそろしい気もするのである。いま書架に並んだ十冊の背文字をながめ、ひとしおの自省とそして回顧の念に打たれずにいられない。 このさ....
四つの都」より 著者:織田作之助
庄平「一昨日。いま大橋先生に会うて来た、これを読めといわれてね」 江藤(その本の背文字を見て)「こんな方面に興味を持ち出したの?(頁を繰りながら)虚弱児童の錬成....