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胎児
「胎児〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
胎児の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
出た。阿濃は、こうして、次第に明るくなってゆく京の町を、目の下に見おろしながら、
胎児の動くのを感じるごとに、ひとりうれしそうに、ほほえんでいるのである。
....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
の危害をも感ぜぬらしく見えるのは、一番恐ろしい運命の淵《ふち》に臨んでいる産婦と
胎児だけだった。二つの生命は昏々《こんこん》として死の方へ眠って行った。
丁度....
「雪後」より 著者:梶井基次郎
心弱さから彼女はそれを夫に秘していた。産婆の診察日に彼女は顫《ふる》えた。しかし
胎児には異状はなかったらしかった。そのあとで信子は夫に事のありようを話した。行一....
「失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
れたものを見ると、一同はアッと叫んだ。 なんとそれが、聖書は愚か、似てもつかぬ
胎児のような形をした、灰色の扁平いものに過ぎなかったのだ。 鹿子は怒りを罩めて....
「振動魔」より 著者:海野十三
子だかどうか判らないとも云える……」 「莫迦なことをおっしゃいますな。生れてきた
胎児の血液型を検査すれば、それが誰の胤であるか位は、何の苦もなく判ってよ、それに....
「恐しき通夜」より 著者:海野十三
業医といえどもウッカリ手を下せないのだ。母体が肺結核とか慢性腎臓炎であるとかで、
胎児の成長や分娩やが、母体の生命を脅すような場合とか、母体が悪質の遺伝病を持って....
「夜泣き鉄骨」より 著者:海野十三
いに思い当るところがある。というのは、自分達が手を下して闇から闇へ送ってしまった
胎児の怨霊のせいに違いないと思いこんでしまう。さァ、こうなると、旦那どのの計画は....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
姙は最早疑う余地のない厳然たる事実なのである。 さらに驚くことは、この懐姙した
胎児について、誰がその父親であるのか、妾には全く見当がつかないことである。妾は全....
「灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
悶であり、奇妙な風船笛のような鳴き声も、すこやかな産声であり、怪しげな濁り水も、
胎児の保護を終えた軽やかな羊水であったのか、とわれながらいまさらのように呆れ返る....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
をほり返すと、赤児は棺のなかに生きていた。女の顔色もなお生けるが如くで、妊娠中の
胎児が死後に生み出されたものと判った。 夫の家では妻の亡骸を灰にして、その赤児....
「奇賊は支払う」より 著者:海野十三
々は曰く、「烏啼天駆の如き傍若無人の兇賊を現代に蔓らせておくことは、わが国百万の
胎児を神経質にし、将来恐怖政治時代を発生せしめる虞れがある。兇賊烏啼天駆は一日も....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
巻をさして下からだんだん海女の胎内に入るのです。入って見ると彼地此地に、十ヶ月の
胎児の見世物がありましたよ。私は幾度も登ってよくその海女の眼や耳から、東京市中を....
「流線間諜」より 著者:海野十三
い。姙婦というものは、生理状態から変なものを喰べたがるものだ。この場合の彼女は、
胎児の骨骼を作るために燐が不足していたので、いつもマッチの頭を喰べていたのだ。あ....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
髪の毛が動いたかと思った。 何故なら、6と9と組み合わせた形は、胎内における双
胎児のそれではないか。まったく、身も世もないあの烈しい相剋のなかで、静かに天鵞絨....
「餅を買う女」より 著者:岡本綺堂
め一家の者が駈けつけて、試みに塚を掘返すと、女の顔色は生けるがごとくで、妊娠中の
胎児が死後に生み出されたものと判った。 夫の家では妻のなきがらを灰にして、その赤児を養育した。....