胸が痛む[語句情報] » 胸が痛む

「胸が痛む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

胸が痛むの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
きくなっているわけではあるまい。葉子はその子の事を思うとどうしたわけか定子の事を胸が痛むほどきびしくおもい出してしまった。鎌倉《かまくら》に行った時以来、自分の....
一房の葡萄」より 著者:有島武郎
知れません。僕はジムの絵具がほしくってほしくってたまらなくなってしまったのです。胸が痛むほどほしくなってしまったのです。ジムは僕の胸の中で考えていることを知って....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
を安二郎はたびたびうっとりと愉しむのだったが、やはり、消費される水のことを想えば胸が痛むのだった。水ならまだしも、炭と来てはまるで紙幣を焼いているようなものだ。....
満韓ところどころ」より 著者:夏目漱石
》を突き抜けると、支那町の真中へ出た。妙な臭《におい》がする。先刻《さっき》から胸が痛むのでポッケットから、粉薬《こぐすり》を出して飲もうとするがあいにく水がな....
ナポレオンと田虫」より 著者:横光利一
執拗な痒さのためにまた全身を慄わせた。 「陛下、お寒いのでございますか」 「余は胸が痛むのだ」 「侍医をお呼びいたしましょうか」 「いや、余は暫くお前と一緒に眠....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
たちまちせきを発して、右の胸をおさえつ。 「あまり話したからいけないのでしょう。胸が痛むの?」 「時々せきするとね、ここに響いてしようがないの」 言いつつ浪子....
道標」より 著者:宮本百合子
だけではなかった。伸子は女としてその文章をよんだとき、本能的ないとわしさを感じ、胸が痛む思いがした。プロレタリア作家だという二木準作は、社会主義というものに対し....
馬地獄」より 著者:織田作之助
空を噛みながら、やっと渡ることができる。それまでの苦労は実に大変だ。彼は見ていて胸が痛む。轍の音がしばらく耳を離れないのだ。 雨降りや雨上りの時は、蹄がすべる....
握った手」より 著者:坂口安吾
た一ツ。それにしては綾子は美人だ。映画館で拾った女のようではなかった。それだけに胸が痛む。今にして思えば、映画館で拾われたのは松夫の方であった。拾われるのも、こ....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
れようとしない。それが殆ど彼の生涯にわたっているのである。 考えれば考えるほど胸が痛む。鶴見は堪えられなくなった。はっきりとはおぼえていないがもはやそれから十....
日記」より 著者:宮本百合子
来る筈でなかった。何と云う呪わしいことか、と云うような激情が起って、身動きしても胸が痛むようであった。いろいろ想像し、楽しい色彩を加えて居るのは、大丈夫と云う安....
私本太平記」より 著者:吉川英治
るか」 「十日とて保てませぬ」 「いや、木の芽や草もある」 それを思うと正成は胸が痛む。隠岐のみかどの脱島を知っていらい、城兵は新しい勇気をもち直していたが、....
茶漬三略」より 著者:吉川英治
である。 こういう有様は、わしはどこの大名方の家庭でも見た例がない。思い出すも胸が痛むが、光秀殿などは殊さらに厭う事である。眉をひそめて、下賤というに違いない....