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胸三寸
「胸三寸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
胸三寸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
ろん知りませんさ。知らんが僕のほうがあなたに深惚《ふかぼ》れしとる事だけは、この
胸三寸でちゃんと知っとるんだ。それ、それがわからん? 僕は恥も何もさらけ出してい....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
かりやした。それだけ聞きゃ、あっしだって岡っ引きだ、あとはもうおっしゃらなくとも
胸三寸ですよ。じゃ、なんですね、乃武江のやつをおとりにつかって、だれか出入りの女....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
様に若い者を前にして、あからさまなことは言わぬものじゃ。役者が揃わば手段は身共の
胸三寸にござる。すぐさま参りましょうぞ。……のう菊」 「あい……」 「そち、疲れ....
「般若心経講義」より 著者:高神覚昇
、 「その仏法はいずこにありや」 と、詰問したのです。すると和尚は即座に、 「
胸三寸にあり」 と答えました。これを聞いた件の山伏、さっそく、懐中せる小刀をと....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
て、憚りながら口幅ってえ事が云える義理かい。イフヒムの奴も太腐れて居やがる癖に、
胸三寸と来ちゃからっきし乳臭なんだ。 だが彼奴の一念と来ちゃ油断がなら無え。 宜....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
があるか! 人に貸そうも凄じい。……ちゃアんと目算は出来てるのよ。そうよここだ、
胸三寸」 「それじゃ早く云えばいいに」 「お前をちょっと験したところよ。おい、風....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
みます。雨具を持たないお客だよ。」 「ちゃんとな、」 と唐桟の胸を劃って、 「
胸三寸。……へへへ、お古い処、お馴染効でございます、へへへ、お上んなはるよ。」 ....
「戯作者」より 著者:国枝史郎
左様、代作、不可せんかえ?」 「……で、筋はどうなりますな?」 「ああ筋ですか、
胸三寸、それはここに蔵して居ります」 ポンと胸を叩いたが、それから例の落語口調....
「二人町奴」より 著者:国枝史郎
置かれねえ」 「ところで兄貴、その手段は?」 「ここにあるよ」と胸を打った。 「
胸三寸、誰にも言わねえ」 「俺らにも明かせてくれねえのか」 気色ばむ弥左衛門を....
「カットの文法」より 著者:中井正一
」をもってはいる。しかし、もう一つの大きなコプラは、大衆が「である」「でない」と
胸三寸でつぶやくそのささやきの中にある。 もし歴史が神の手でつくられるのだった....
「映画のもつ文法」より 著者:中井正一
なくつないで、観照者の前に置きっぱなしにするのである。観照者は、自分自分勝手の、
胸三寸に潜めている願いをもって、それらのカットを自分でつないで見ていくのである。....
「かくれんぼ」より 著者:斎藤緑雨
子を御参なれやと大吉が例の額に睨んで疾から吹っ込ませたる浅草市羽子板ねだらせたを
胸三寸の道具に数え、戻り路は角の歌川へ軾を着けさせ俊雄が受けたる酒盃を小春に注が....
「キド効果」より 著者:海野十三
うべき種類のものであった。一行は赤でもなく白でもなく、親分「岩」に率いられてその
胸三寸次第で如何様にも突入していったのだった。 ただし此の「岩」こと岩丘岩九郎....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
ながや。」 「助けて下さいまし、お尼さん、そうして、お灸は、どこへ。」 「魂は、
胸三寸というわいの。」 「ええ。」 「鳩尾や、乳の間や。」 「……恥しい。」 「....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
その中に、総棟梁ののっそり十兵衛、皆の仕事を監督りかたがた、墨壺墨さし矩尺もって
胸三寸にある切組を実物にする指図|命令。こう截れああ穿れ、ここをどうしてどうやっ....