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胸倉
「胸倉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
胸倉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
れもない父の弥三右衛門《やそうえもん》です。わたしは一生懸命に、掴《つか》まれた
胸倉《むなぐら》を振り切りながら、高塀の外へ逃げ出しました。
しかし半町《はん....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
だ。それだけで癇癪《かんしゃく》の種には十分だ。彼れはいきなり笠井に飛びかかって
胸倉《むなぐら》をひっつかんだ。かーっといって出した唾《つば》を危くその面《かお....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
五百両はみんな飛んでしまう。おとなしくここまでは付いて来たものの、彼はもう主人の
胸倉を掴んで引き摺って帰りたいようにもいらいらして来た。 背中合せの松飾りはま....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
ぼけた顔を突き出すと、待ち構えていた千枝松は蝗《いなご》のように飛びかかって婆の
胸倉を引っ掴んだ。 「言え。となりの藻をどこへやった」 「なんの、阿呆らしい。藻....
「西湖の屍人」より 著者:海野十三
しょうか」 と帆村の前に立つ怪しの男が、熱心に尋ねている。 帆村は、その男に
胸倉をとられたまま、 「ウウ、ううウ」 と低く呻っているばかりだった。 「ちょ....
「省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
部だった。 「呀ッ」抱きおこした少女を前から覗いた男が、顔色をかえて、背後の人の
胸倉に縋りついた。 「血だ。血――血、血、血ッ」その隣りの男が、気が変になったよ....
「夜泣き鉄骨」より 著者:海野十三
、大変だア」疳高い声で叫ぶものがある。 わしは、ギクリとした。 「組長」わしの
胸倉に縋りついたのは、電纜工場の伍長をしている男だった。「おせいさんが、大変だッ....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
へ歩いていった。 「おや、変だぞ」と一郎は叫んだ。 「なにが変だ」と教授は一郎の
胸倉をとったが「うん、これは可笑しい。教室の灯が消えている。君が消したのか」 「....
「不沈軍艦の見本」より 著者:海野十三
、あれを真似して百|隻ばかりこしらえるんだ」 大統領は、あえぎながら、金博士の
胸倉をとって哀訴した。 「御覧になれば、なんだこんなものかと思われるですよ。はは....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
込んだ。 僕は、戸棚の上に取残されたままだった。 ベラン氏が、リーマン博士の
胸倉をとって、盛んに口説きだした様子である。何を喚いているのか、僕のところへは聴....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
まに振って見せた。 確に暗号に違いない、しかも自分にするのらしい。 「ええ。」
胸倉を取って小突かれるように、強く此方へ応えるばかりで、見るなか、行けか、去れだ....
「多神教」より 著者:泉鏡花
、怨み、腹立ち、怒ったりの、泣きついたりの、口惜しがったり、武しゃぶりついたり、
胸倉を取ったりの、それが何になるものぞ。いい女が相好崩して見っともない。何も言わ....
「備前天一坊」より 著者:江見水蔭
五 誰も他にいなくなった離れ座敷では、忽ち形勢が一変した。金三郎の
胸倉を取って智栄尼は小突き始めた。 金三郎は両手を合せて拝み拝み。 「まァ密か....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
。がッがッ響がして、よう寝られん、弱って、弱って、とろりすると、ぐウと、緊めて、
胸倉とって、ゆすぶらはる、……おかみはんどす。キャアいうて、恥かし……長襦袢で遁....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
うじうじ嬌態をやっていた、とお思いなさい。 いきなり、手をのばすと、その新造の
胸倉を打掴えて、ぐいと引摺り込みながら硝子戸を片手でぴッしゃり。持っていた洋燈の....